Storm Cat(ストームキャット)系種牡馬の現状

投稿者: | 2020年6月9日

アメリカのノーザンダンサー系の王道血統

今回はついにあのStorm Cat(ストームキャット)系について取り上げてみたいと思います。

ストームキャット系と言えばアメリカ競馬を代表する王道血統として知られた存在ですが、日本ではどちらかというと父系というよりも母の父として存在感を放つ存在ではないでしょうか。

父ディープインパクトに母の父ストームキャットという配合はもはやお約束とも呼べる鉄板配合ですし、日本の高速馬場、特に東京競馬場のレースなどには抜群の相性を示していることは競馬ファンならだれでも知っていることでしょう。

またその優秀な血はディープインパクトに親和性を示すにとどまらず、ロードカナロア(父キングカメハメハ)やファレノプシス(父ブライアンズタイム)、メイショウボーラー(父タイキシャトル)などで結果が出ているように、この名前が母の父にさえあれば何をつけても走るという印象すらあります。

かつて僕が競馬をはじめた九十年代初頭などは、ストームキャット(もしくはその父ストームバード)と聞くと”早熟で気性が激しく一本調子で大成しない”とイメージであまり印象の良くなかった種牡馬なんですが、代を経て、また母系に入りこれほどイメージが変わるのは意外でした。

最近はヘニーヒューズやヨハネスブルグなど直系の活躍も目立ちます。

アメリカでは直系が相変わらずの活躍ぶりを示すストームキャット系ですが、現在その血がどう拡がっているのか一度まとめてみたいと思い、今回の記事にしていみることにしました。

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Storm Cat(ストームキャット)の血統

1983年 – 2013年  アメリカ産

Storm Bird
1978 鹿毛 カナダ

父の父

Northern Dancer
1961 鹿毛 カナダ

Nearctic Nearco
Lady Angela
Natalma Native Dancer
Almahmoud
父の母

South Ocean
1967 鹿毛 カナダ

New Providence Bull Page
Fair Colleen
Shining sun Chop Chop
Solar Display

Terlingua
1976 栗毛
アメリカ

母の父

Secretariat
1970 栗毛

Bold Ruler Nasrullah
Miss Disco
Somethingroyal Princequillo
Imperatrice
母の母

Crimson Saint
1969 栗毛

Crimson Satan Spy Song
Papila
Bolero Rose Bolero
First Rose

1983年にアメリカ・ケンタッキー州のウィリアム・T・ヤング氏によって生産された競走馬で、のちに彼にとっても最初の大物生産馬となります。

父Storm Bird(ストームバード)はアメリカの馬というイメージがありますが、実は生産されたのはカナダで現役時代はなんとヨーロッパで走っています。

母や全姉がカナダのオークス馬なので良血馬としてかなり期待されいたようで、アイルランドの名伯楽ヴィンセント・オブライエンきゅう舎からデビューすると二歳時は5戦5勝と完璧な成績を残して2歳チャンピオンに輝いています。

かつてニジンスキーやザミンストレルという伝説的な名馬を管理している同氏からの評価はこの二頭を超えるものだったようですが、残念ながら三歳時には様々なトラブルに見舞われ一戦走ったのみ(5着)で引退しています。引退後はアメリカで種牡馬入り。

種牡馬としてはバランシーン(仏オークス)やサマースコール(プリークネスS、ケンタッキーダービー2着)などの大物を出しはしたものの、早熟なスピードタイプを多く出し、その名前が高まったのは今回取り上げるストームキャットが種牡馬として成功したおかげかもしれません。

日本ではスキーキャプテンが走り、朝日杯などではフジキセキの二着と存在感を放ったものの、結局終わってみれば他の産駒と同様これが絶頂期でした。日本には種牡馬としてスプレンティドモーメントやプリンスオブバースなどが種牡馬として輸入されていますが、ダートで活躍馬をたまに出す程度でいずれも失敗に終わっています。

母系に目をやると、母Terlingua(テルリングァ)が17戦7勝でGⅠ勝ちこそないものの重賞戦線で活躍した上級馬でした。

祖母Crimson Saint(クリンムゾンセイント)まではぱっとしなかった母系のようですが、この祖母の代からこの牝系は発展を遂げており、母テルリングァの半弟にはにはBCマイルなどを勝ち、種牡馬として大成功したRoyal Academy Ⅱ(ロイヤルアカデミー)がいます。

母の父であるSecretariat(セクレタリアト)はアメリカ競馬史上最強クラスとも言われる名競走馬で、直系は延びなかったものの母系に入り種牡馬としては高い底力を伝えています。

現役時代

ストームキャットは現役時代アメリカで走り通算8戦4勝(4-3-0-1)。

GⅠは二歳時にヤングアメリカS(ダート8.5F:現在は廃止)を制したのみですが、二歳チャンピオン決定戦のBCジュヴェナイルではTasso(タッソー)の二着に入っています。

三歳時は秋に二戦(いずれも非重賞)しただけであっさりと1986年に引退しています。

引退後はオーナーが所有するケンタッキー州のオーバールックファームで種牡馬として供用されました。

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主な産駒

1987年から種牡馬生活をはじめたストームキャットですが、初年度の種付け料は3万ドルとある程度の金額に設定されていたようです。

初年度から産駒が大活躍し、1999年と2000年には北米で念願のリーディングサイアーに輝いています。

その後も産駒は好成績を残し続け、2002年から種牡馬引退となる前年の2007年の種付け料は50万ドルまで高騰しており、祖父であるノーザンダンサーに近い評価がされていたようです(ただだしノーザンダンサーの全盛期の種付け料は100万ドルと言われているのでこれにはさすがに及びませんね)。

注目すべきはかなりの馬がGⅠを勝っているのに超大物と呼べる産駒が直仔にあまりいない点ですね。

Tabasco Cat(タバスコキャット)

母の父:Sauce Boat(Ribot系)

1991年産でストームキャットにとって三世代目の産駒となります。

ケンタッキーダービーこそ6着に敗れましたが、続くプリークネスSとベルモントSを勝利し、ストームキャットにとって初めての米クラシックを勝利した馬となります。(そう言えば他に牡馬クラシックを勝った馬はいるんでしょうか・・・)

僕がストームキャットやストームバードについて知ったのもこの馬がきっかけですなんですが、理由はやはりそのヘンテコな名前(笑)のせいです。

種牡馬入り当初は活躍馬を出しましたが徐々に尻すぼみになり、結局日本に輸出されていますがパッとしませんでした。

Giant’s Causeway(ジャイアンツコーズウェイ)

母の父:Rahy(Nasrullah系)

1997年生まれのストームキャットの代表産駒です。

アメリカ産ながら祖父ストームバードと同じくヨーロッパで走り13戦9勝の成績を残しました。うちGⅠは6勝で負けた四回はいずれもGⅠで2着という素晴らしい競走成績でした。

引退後はアイルランドで種牡馬入りしていますが、産駒は各地で大活躍しておりアメリカでも2009年、2010年にリーディングサイアーに輝いています。

2018年死亡しましたが、現役時代と同様種牡馬としても大成功した馬です。

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現在サイヤーラインとして残るストームキャットの系統

Harlan(ハーラン)

母の父:Halo(Hail to Reason系)

1989年産でストームキャットの初年度産駒となります。さっき気付いたのですが馬主も生産牧場もオーバーブルックファームとなっているので、どうやらストームキャットのオーナーの自家生産馬だったようですね。

ハーランは1999年にわずか10歳で早逝してしまったので産駒は少なく、ハーラン系と言ってもその血はほとんど子供であるHarlan’s Holiday(ハーランズホリデー:GⅠ3勝で2003年にはドバイWCで2着)経由で拡がっていると言ってもいいですね。

ハーランの現役時代は五歳時にGⅠであるヴォスバーグS(ダート6F)を勝ったのが目立つ程度の競走馬でしたが、わずか数年の種牡馬生活の中からハーランズホリデーを送り出し、さらにその子供で孫にあたるInto Mischief(イントゥミスチーフ)が出ています。イントゥミスチーフは2019年に北米のリーディングサイアーに輝いています。

イントゥミスチーフは当初期待されていたなかったものの優れた産駒成績から一気にブレイクして優秀な繁殖牝馬を集めており、しばらくこの系統は安泰だと思われます。

ハーラン、ハーランズホリデー系の主な種牡馬

  • Into Mischief(イントゥミスチーフ)・・・2005年産でハーランズホリデー産駒の初年度産駒で、ハーランにとっては孫にあたります。2019年の北米リーディングサイヤーで高い勝ち馬率を残しました。一時期7500ドルまで落ちた種付け料も現在は15万ドルまで上昇しており、超一流種牡馬の一頭になっています。
  • シャンハイボビー・・・現役時代はBCジュヴェナイルなどを勝った一流馬でアメリカやブラジル(シャトル)で供用された後、2019年から日本(アロースタッド)に輸入されています。2010年生まれで同じくハーランズホリデー産駒。

Hennessy(ヘネシー)

母の父:Hawaii(Dante系)

1993年産でハーランと同じくオーバールックファームの生産馬です。

その血は日本でも存在感をはなちストームキャット系の中でも一大勢力を築いている系統で、この系統だけでも一つ記事が書けますね。

現役時代は二歳戦しか走っていません(9戦4勝:GⅠはホープフルSを制しています)が、大一番のBCジュベナイルではあのアンブライドルドズソングに2着に入った一流馬でした。

引退後はクールモアグループに購入されており、アメリカだけではなく世界中で種付けを行っています。ちなみに日本でもイーストスタッドで一年だけ種付けを行っています(56頭が誕生)。

二年目の産駒からアメリカおよびヨーロッパの二歳チャンピオンに輝いたヨハネスブルグ(2010年からは日本で供用)を出すなど、超がつく大物はその後現れませんでしたがコンスタントに優れた産駒を多く送り出しました。

ヘネシー系の主な種牡馬

  • ヨハネスブルグ・・・1999年生まれでヘネシー二年目の産駒。2歳時にはストームキャット系らしい圧倒的な走りを見せ、ヨーロッパとアメリカでGⅠを勝利し7戦7勝(うちGⅠを4勝)という完璧な成績を残して両方のエリアの2歳チャンピオンに選出されています。ただ3歳になると勝てなくなり三戦して未勝利でした。引退後はアメリカとオーストラリアで種付けを行っていましたが初年度産駒からScat Daddy(スキャットダディ)が出て、さらにこの馬が種牡馬として成功したことによりその血が広まっています。2010年からは日本の系種牡馬協会で供用されています。現在も存命のようですが2019年に種牡馬からの引退が発表されています。
  • ヘニーヒューズ・・・2003年産のヘネシー産駒で2013年から日本で供用されています。海外ではBeholder(ビホルダー)ぐらいしか大物が出なかったものの、輸入された産駒や日本で産まれた産駒は低額の種付け料ながら牝馬を問わず勝ちまくり、アジアエクスプレスやモーニンといったGⅠホースを出しています。基本的には下級条件のダートで強い種牡馬です。
  • Scat Daddy(スキャットダディ)・・・ヨハネスブルグの孫で2004年度産ヨハネスブルグの代表産駒(恐らく初年度産駒)となります。代表産駒と言ってもケンタッキーダービーの前哨戦にあたるフロリダダービーを勝って本番は18着に敗れています(ただし怪我が原因と言われています)。種牡馬としては初年度から活躍馬を多数送り出し、のちに無敗の三冠馬Justify(ジャスティファイ)などの他、日本でも高松宮記念を勝ったミスターメロディーを送り出しました。2015年死亡。

Tale of Cat(テイルオブキャット)

母の父:Mr.Prospector

1994年産で近親にヨハネスブルグやプルピットなどがいる血統馬です。9戦5勝もあまり大舞台を走っていないので成績はあてになりませんが、GⅠのホイットニーHではカナダ産の名馬であり種牡馬としても活躍したAwesome Again(オーサムアゲイン)の二着があります。種牡馬としては2010年より少し前はトップ10に入るなど活躍していましたが、GⅠ五勝のGio Ponti(ジオポンティ)などは出したものの後継種牡馬も含めて最近はイマイチぱっとしませんね。

テイルオブキャット系の主な種牡馬

  • Gio Ponti(ジオポンティ)・・・2005年産の一流馬でアメリカの芝レースを使われGⅠ五勝しており、2009年には北米古馬チャンピオン(エクリプス賞最優秀古牡馬)や2009年、2010年の最優秀芝馬に選ばれています。2014年には産駒のドレフォンがBCスプリントを制していますが、大物がこれ以外に出ておらず、現在の種付け料は数千ドルに低迷しています。
  • ドレフォン・・・2013年産でジオポンティが送り出した唯一の活躍馬ですがBCスプリントなどGⅠを三勝しています。引退後はそのスピードを買われ、社台ファームによって輸入されています。産駒は2021年デビュー予定の期待の種牡馬です。

Forestry(フォレストリー)

母の父:Pleasant Colony(Ribot系)

1996年産。現役時代はあまり大きなレースは走っていないものの11戦7勝の上級馬。GⅠでの成績はキングスビショップS勝ち(ダート7F※1999年まではGⅡだったがGⅠに昇格)とBCスプリントで4着など。2011年の米クラシック戦線で活躍(プリークネスSに勝利)したShackleford(シャックルフォード)などを輩出しています。現在はアルゼンチンやブラジルで種牡馬を送っているという情報もあり、南米で産駒が結構活躍しているようですが詳細は不明です。

フォレストリー系の主な種牡馬

  • ディスクリートキャット(Discreet Cat)・・・四歳になるまで無敗を誇った一流馬でUAEダービー(UAE:GⅡ、ダート1800m)やシガーマイルH(米:GⅠ、ダート8F)などを勝利。2008年からアメリカで供用されるも目立った産駒は残せず、2017年から日本で供用されています。2003年産。
  • Shackleford(シャックルフォード)・・・2008年産でプリークネスSなどGⅠを三勝し、フォレストリーにとっての代表産駒となります。2013年からアメリカで供用されていますが、現在のところ30位台が最高なのでポジション的には中堅種牡馬ですね。現役時代は結構活躍した馬なので種牡馬としてのブレイクが期待されますが、現在種付け料が1万ドルまで下がっているので日本に来る可能性もありますね。母系にはアンブライドルドやロベルトの血を持ち、日本との相性が良さそうな馬です。

Giant’s Causeway(ジャイアンツコーズウェイ)

母の父:Rahy(Nasrullah系)

1997年産。活躍馬のところで取り上げたようにGⅠ6勝のストームキャットの代表産駒です。種牡馬としても大成功しました。

初年度(2001年)こそヨーロッパで供用され、翌年からはアメリカで供用されています。

アメリカで多数の活躍馬を送り出しましたが、初年度に種付けされたヨーロッパ産の馬からもヨーロッパ二歳チャンピオンに輝いたShamardal(シャマルダル)などの活躍馬を送り出し、産駒は世界中で活躍を見せています。

2018年に亡くなっていますが、2004年にヨーロッパのファーストクロップリーディングサイヤー、2009年、2010年には北米リーディングサイヤーに輝いています。

ジャイアンツコーズウェイ系の主な種牡馬

  • Shamardal(シャマルダル)・・・2002年産でジャイアンツコーズウェイの初年度産駒です。二歳時に大活躍しただけでなく、三歳時もフランス2000ギニーとフランスダービーの二冠を制した超一流馬です。。イギリスで種牡馬入りし、フランスを中心に多数のGⅠホースを送り出しました。2020年死亡しましたが日本の芝レースへも対応できる貴重な系統です。
  • エスケンデレヤ・・・2007年産でウッドメモリアルSの勝ち馬です。アメリカで種牡馬入りしたあと2015年からは日本(日本軽種牡馬協会)に購入されています。
  • ブリックスアンドモルタル・・・2014年産でジャイアンツコーズウェイにとっては晩年の子供となりますが代表産駒と言えます。四歳までは脚部不安で満足に使えなかったものの五歳時には圧倒的な強さを見せ、ペガサスワールドカップターフなど一年で主要GⅠを五勝しました。現役中に社台ファームに購入され引退後即日本で供用されている超大物でサンデーサイレンスの再来となるか注目が集まります。
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