シンボリクリスエス産駒の特徴と傾向

投稿者: | 2019年6月6日

今回はシンボリクリスエス(父Kris S)について取り上げてみようと思います。

シンボリクリスエスと言えば、GⅠを四勝して年度代表馬に二度輝いている(2002年と2003年)ものの、当時リアルタイムで見た僕としては”何となく強かった馬”というイメージなんですよね。

十五戦して五着が一度あるのみで、あとは三着以内というのは超一流馬そのものなんですが、九十年代の猛烈な競馬ブームの反動なのか、ライバルがパッとしなかったせいなのか何となくこの頃の馬たちに対する思い出があまり強くありません。

まぁこういうのはいつ競馬を見始めたかによって思入れも違うので、個人の勝手なイメージで申し訳ないんですが、成績のわりにどこか地味な印象のあるシンボリクリスエスがどういった産駒を送り出しているのか分析してみたいと思います。

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シンボリクリスエスの血統

Kris S. 1977
黒鹿毛 アメリカ

父の父

Roberto 1969
鹿毛 アメリカ

Hail to Reason Turn-to
Nothirdchance
Bramalea Nashua
Rarelea
父の母

Sharp Queen 1965
鹿毛 アメリカ

Princequillo Prince Rose
Cosquilla
Bridgework Occupy
Feale Bridge

Tee Kay 1991
黒鹿毛 アメリカ

母の父

Gold Meridian 1982
黒鹿毛 アメリカ

Seattle Slew Bold Reasoning
My Charmer
Queen Louie Crimson Satan
Reagent
母の母

Tri Argo 1982
黒鹿毛 アメリカ

Tri Jet Jester
Haze
Hail Proudly Francis S.
Spanglet

1999年アメリカ産。シンボリ軍団の総帥和田孝弘さんがアメリカで購入し、現地で繋養していた牝馬から生産された馬となります。

まず父系から見ていくと父Kris S(クリスエス)は現役時代アメリカで五戦三勝という成績を残しただけの馬でしたが、種牡馬入り当初はパッとしませんでした。しかしながら、九十年代に入り突如活躍馬を送り出し始めて一流の種牡馬に登りつめました。

産駒は芝の中距離を中心に活躍し、アメリカだけでなく英ダービー馬Kris Kin(クリスキン)も送り出しています。1993年には北米のリーディングサイアーに輝きました。

しかしながら後継の種牡馬達には恵まれず、現在日本以外ではArch(アーチ:2016年に死亡)を経由したBlame(ブレイム)がアメリカで残る程度なっており、そのブレイム自身も30位前後という成績なので将来が明るいわけではありません。

これはKris Sに限ったことではなく、Roberto(ロベルト)系全般に言えることで日本でもスクリーンヒーローやタニノギムレットのサイアーラインが唯一頑張っているにとどまります。

母系は近親に活躍馬はそれほどいませんが、祖母の全妹の孫からドバイワールドカップの勝ち馬Well Armed(ウェルアームド※せん馬)が出ています。

母の父Gold Meridian(ゴールドメリディアン)は大種牡馬シアトルスルーの血を引きますが、母がカナダの2歳チャンピオンながら11戦4勝の中級馬。母の母の父Tri Jet(トライジェット)は2015年の米三冠馬American Pharaoh(アメリカンファラオ)の三代母の父ではありますが、トムフール系の種牡馬でGⅡを三勝した程度の競走馬でした。

全体を通してみると特に速い血を持たないアメリカの中距離配合という感じですね。

現役時代

15戦8勝(8-2-4-1)。

藤沢和雄きゅう舎から2001年デビュー。同期にタニノギムレットやヒシミラクル、ゴールドアリュール、アドマイヤドンがいます。

新馬勝ちしたあとは勝ちきれないレースが続きますが、日本ダービーのトライアルレースである青葉賞に勝利したことや、元々きゅう舎関係者評判もたかかったこともありダービーは三番人気となります。

当時からすでに超一流のきゅう舎として知られていた藤沢きゅう舎でしたが、大事に馬を扱うせいかこの時代はクラシックにはあまり縁のないきゅう舎という印象でしたね。ダービーは結局青葉賞で騎乗していた武豊騎手鞍上のタニノギムレットに敗れ二着となります。

ただし武豊騎手が”秋になれば良くなる”と評価していたようにここから一流馬の道を進みます。

秋緒戦の神戸新聞杯を勝った後は適性距離を中距離と見据えて菊花賞では古馬戦線に挑み、見事三歳で天皇賞・秋を制します。この年は東京競馬場の改修で中山競馬場で行われていましたが、その後はジャパンカップ三着のあと有馬記念を制し、年度代表馬に輝きます。

古馬になった翌年は宝塚記念まで休養し、休み明け五着のあと昨年と同じ天皇賞秋から有馬記念というローテーションに進みましたが、ジャパンカップを三着に敗れた以外は天皇賞・秋と有馬記念をしっかりと制し二年連続の年度代表馬に選ばれました。

特筆すべきは引退レースとなった有馬記念で、それまでGⅠを複数回勝っていながら何となく地味だったのを覆すように、二着のリンカーンに九馬身差をつける圧巻のパフォーマンスでした。

 

種牡馬入り後

2003年に現役を引退した後は種牡馬入りし、翌年の2004年から2015年まで社台スタリオンステーションで供用されています。

同じヘイルトゥリーズン系のサンデーサイレンスが大活躍していたことや、GⅠ四勝という超一流の実績だったこともあり期待され初年度は600万円の種付け料でスタートしています。(このあたりの流れは最近で言うとオルフェーヴルとそっくりですね。)

2016年からはブリーダーズスタリオンに移動し現在に至りますが、すでに高齢の域に入っているため、2018年から種付け料は100万円(受胎確認後)に設定されています。

産駒成績

2014年までの安定した成績から一転して二桁の成績に急下降しています。

恐らく2008年からダイワメジャー、2011年にはキンシャサノキセキ、ハービンジャーなど次世代の種牡馬が社台ファームで供用されているのでこのあたりの影響でしょうか。2013年にもルーラーシップが登場しています。

2007年・・・71位(フレッシュリーディングサイヤー:新種牡馬の中では1位)
2008年・・・12位(重賞一勝:ダンツキッスイがアーリントンCを制し重賞初勝利)
2009年・・・4位(重賞五勝:初年度産駒のサクセスブロッケンがフェブラリーSを制しGⅠ初勝利
2010年・・・3位(重賞二勝)
2011年・・・3位(重賞六勝:アルフレードが朝日杯を制し芝のGⅠ初勝利
2012年・・・4位(重賞四勝:ストロングリターンが安田記念を制し古馬GⅠ初勝利
2013年・・・3位(重賞四勝:エピファネイアが菊花賞を制しクラシック初勝利
2014年・・・4位(重賞五勝:うちGⅠ一勝
2015年・・・11位(重賞二勝:うち一勝は障害レース)
2016年・・・15位(重賞一勝:障害レース)
2017年・・・16位(重賞二勝:ともに障害レース)
2018年・・・14位(重賞四勝:うちGⅠ一勝

主な産駒

エピファネイア

母の父:スペシャルウィーク 主な戦績:ジャパンカップ菊花賞、他(二着)皐月賞、日本ダービー

2010年産。シンボリクリスエス唯一とも言っていい、芝の大物ですね。GⅠを二勝しているだけでなく、クラシックすべてで好走したというのは大きいですね。

母は名牝シーザリオなので走って当然という感じもしますが、この馬が最高傑作と見て基準にすると、瞬発力勝負というより持続力型、気性は難しいなどある程度シンボリクリスエスの能力も見えてきますね。

サクセスブロッケン

母の父:サンデーサイレンス 主な戦績:ジャパンダートダービー(大井)、フェブラリーステークス東京大賞典(大井)、他

2005年産で初年度産駒になります。最初期の産駒なんですが、この馬は社台系の生産馬ではなく谷川牧場出身です。

デビューからいきなりダートで四連勝した後、一回だけ芝のレース、日本ダービーに挑んでいますが、さすがに相手がわるく最下位(十八着)に沈みました。

その後はダートに絞って走ってGⅠを三勝していますが、戦績を見ると東京競馬場での凡走が目立ちますね。

通算成績は19戦7勝(7-2-3-7)ですが、東京競馬場のダートレースに限定すると(2-0-1-2)、これはそんなに悪く見えないんですが二桁着順となった二回ともに東京競馬場です。

ストロングリターン

母の父:Smart Strike(Mr Prospector系) 主な戦績:安田記念、京王杯スプリングC、(二着)安田記念

2006年さんで二年目の産駒となります。

この馬はサクセスブロッケンとは違い東京巧者ですね。生涯七勝のうち五勝が東京競馬場で挙げていますし、安田記念で二回とも好走しています。

上りタイムも速く終いのしっかりした馬で、二十一戦して勝ち馬との最大差がマイルチャンピオンシップの0秒6というのは優秀ですね。

ただ勝ちきれないレースが多く、オープンクラスに定着したのが五歳になってからなので不器用だったことが分かります。

2012年に安田記念をを制した時の勝ちタイム1分31秒3は当時の1600mの日本レコードでした。

ルヴァンスレーブ

母の父:ネオユニヴァース 主な戦績:全日本2歳優駿(川崎)、ジャパンダートダービー(大井)、マイルチャンピオンシップ南部杯(盛岡)、チャンピオンズカップ、他

2015年産で社台スタリオンステーション時代の最後の世代の産駒になります。生産牧場も社台コーポレーション白老ファームです。

近親にかなり活躍した馬がいるわけではないのですが、四代母まで遡ると重賞戦線で活躍したダイナフェアリーにいきつきますね。

現在(2019年6月現在)八戦七勝で、これまでのレースぶりはかなり安定して余裕があり、底が見えない馬ですね。

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産駒の特徴と傾向

デカい、そして気性はキツイ!

シンボリクリスエスと言えば何と言っても特徴は大きな産駒が多いことですね。黒光りする馬体に500㎏を超えてくる産駒が多いので見映えはいいのですが、大きな体を持て余したり絞り切れない馬が多いのが特徴だと思いますね。

また有名なのが気性の難しさですが、騎手の種牡馬に対するコメントなどを見ているとよく名前が挙がるのがシンボリクリスエスですね。

サトノティターンなんかは若い時は鞭を入れられただけで横にぶっ飛んでいったりして、あのモレイラが四苦八苦していたぐらいですから、若駒は特に要注意ですね。

セン馬になっている馬も多いような気がします。

新馬戦の勝率が低い

これは途中から繁殖牝馬の質が下がっているので線引きが難しいのですが、ランキングの上位に入る一流種牡馬と比べると非常に新馬戦の低い種牡馬となります。

ディープインパクト産駒の新馬戦の勝率が23%程度あるのは別格にしても、通常10%前後というのが一般的ですが6%台というのはかつて3位や4位にいた種牡馬としてはかなり低い数字となります。

またこれを四年以内に絞って見ると5%を切ってくるらしいので初戦は狙いにくい種牡馬といえます。

これもやはり身体の大きいことによる仕上げの難しさなどが影響していると思われます。

また、かつて供用当初は勝ち馬率が三割を超えていたのに対して、繁殖牝馬の質が下がった近年は二割を割り込むことも多くなっており、当たりはずれの大きい種牡馬とも言えます。

そう考えると人気していないような馬は狙わないほうがいいように感じますね。

早い段階から勝ちあがってくる馬は大物に育つ

逆に新馬戦が苦手なはずなのに勝ち上がってくるようだと期待できます。

シンボリクリスエス産駒の活躍馬の戦績を見直してみると賞金をたくさん稼いでいる馬の多くは新馬戦を勝ちあがっており、少なくとも三戦以内に勝ち上がってくるなどその素質の片りんは早い段階で見せていますね。

信頼できるのは1600mから

距離面に関しても割とはっきりとした傾向を示しており、1400m以下の成績が目立って悪いですね。

1600m以上だと総じて勝率が8%前後、複勝率だと23%前後あるのに対して1400m以下だと勝率が5%まで下がり複勝率も20%台を完全に割り込んでいます。

これは芝でもダートでも同じ傾向をしめしているので忙しい競馬苦手、脚は遅いほうだと覚えたほうがいいですね。

格上にはしっかりと負ける

僕は前々から言っているようにロベルト系は実力が比較的にはっきりした馬が多いような気がします。

弱い馬には比較的しっかり勝つタイプだと思うんですが、明らかに格上の相手にはしっかりと負けるタイプですね。

二着三着を繰り返すというよりも勝ったと思ったら次走コロッと負けたり、惨敗したと思ったら混戦の中コロッと勝ったりするなど成績は比較的不安定ですね。

サンライズソアやサトノティターンなどがいい例だと思うんですが、相手が強いなと思ったら確実に来ないので意外と買いやすい種牡馬ではあります。

やはりダートのほうが信頼できる

エピファネイアやストロングリターンがいるように、芝でもかなりの素質を見せる馬が多いのですが、最近はダート種牡馬と見ておいたほうが確実でしょう。

冒頭にも書いたように大きな馬が多いので、爆発的な瞬発力で追い込んでくるよりもパワーを活かしてダートで突き進んでくるタイプなので芝からダート替わりは当然注意しておく必要があると思います。

母の父シンボリクリスエスは期待できる

最近シンボリクリスエスは父馬というよりも母の父として見ることも多くなってきましたが、最近ではレイデオロやミスパンテールの母の父などとして存在感を放っています。

血統の面白いところは父としてイマイチだったのに母の父として急に存在感を放つ馬がいることですが、有名どころでは何と言ってもストームキャット系の馬たちです。

アメリカでは今でのストームキャット系の馬は直系が活躍しているんですが、日本ではいまだに相性が悪いのですが、母系に入るとディープインパクトとのセットで超一流馬が現れています。

このストームキャット系の馬とシンボリクリスエスに共通しているのは能力があるのに気性が難しいという点で我慢がきかないというところが多いのですが、これが代を経ることによって血が薄まったり父系の影響が強く出たりして、弱点が影を潜めたりすることも多いので、今後は母の父にシンボリクリスエスをもつ超大物も比較的多く現れてくるのではないかと個人的に予想しています。

社台ファームで繋養されていただけあって牝馬の数は多いでしょうから、サンデーサイレンス系のスピード種牡馬やキングカメハメハ系との配合は注意して見ておいたほうがいいでしょう。

配合的には母の母の父にスピード馬がいると最高だと思います。

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