クロフネ産駒の特徴と傾向

クロフネの現役時代で思い出されるのは、やはり引退レースとなった2001年のジャパンカップ・ダート(GⅠ)での1秒1差のブッチギリ勝ちでしょうが、もう一つ有名なレースがあります。

それが2歳時(当時は3歳で換算されていた)のラジオたんぱ杯3歳ステークス(GⅢ)ですが、1着アグネスタキオンに2着ジャングルポケット、そして3着がクロフネだったのですが、約18年前のレースの上位三頭が、現在もよく知られた存在で種牡馬として活躍したというのは、このレースがいかに豪華な顔ぶれだったかがよく分かりますね。

後にダートでは怪物と呼ばれる強さを発揮したクロフネですが、このレースでも1.4倍と断然人気だった同馬を直線に入って一瞬でちぎったアグネスタキオンに戦慄を覚えたのは、僕にとっていい思い出なんですが、クロフネやジャングルポケットの種牡馬入り後の活躍なんかを見ていると、タキオンの早世は非常に残念でしたね。

タキオンは未だにサンデーサイレンスの後継候補になるはずだったと僕は考えているのですが、今回は彼らのおかげで?ダートへの道を進むことになった、今でもダート史上最強馬の一頭に数えられる”砂の怪物”クロフネに注目してみたいと思います。

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クロフネの血統

*フレンチデピュティ
French Deputy
1992 栗毛 アメリカ

父の父

Deputy Minister
1979 黒鹿毛

Vice Regent Northern Dancer
Victoria Regina
Mint Copy Bunty’s Flight
Shakney
父の母

Mitterand
1981 鹿毛

Hold Your Peace Speak John
Blue Moon
Laredo Lass Bold Ruler
Fortunate Isle

*ブルーアヴェニュー
Blue Avenue
1990 芦毛 アメリカ

母の父

Classic Go Go
1978 鹿毛

Pago Pago Matrice
Pompilia
Classic Perfection Never Bend
Mira Femme
母の母

Eliza Blue 1983
芦毛

Icecapade Nearctic
Shenanigans
*コレラ
Corella
Roberto
Catania

まずクロフネを語るうえで押さえておかなければいけないのはVice Regent(ヴァイスリージェント)でしょう。カナダの大種牡馬でありリーディングに11度も輝いており、ノーザンダンサーの血をカナダのに広げるきっかけとなった日本におけるノーザンテーストのような存在です。

その子(クロフネから見るとおじいさん)であるDeputy Minister(デピュティミニスター)もカナダ産であり、当初はカナダで走っていたものの2歳の途中からアメリカ競馬に参戦して見事2歳チャンピオンに輝いていますが、その後はGⅡを何回か勝っただけなので、競争成績としては超一流とまではいきませんでしたが、このデピュティミニスターがヴァイスリージェント系の発展に活躍します。

アメリカで種牡馬入りした後はオープンマインド(GⅠ8勝の牝馬)やオーサムアゲインなどBCの大舞台で勝利する馬を輩出し、1997年にはリーディングサイアーにも輝いています。

そのデピュティミニスターから産まれたのが父French Deputy(フレンチデピュティ)ですが、GⅡを勝利はしているものの三歳最後の一戦BCクラシックの9着を最後にGⅠは未勝利のまま引退しています。ただ大敗したのはこのレースだけであり、勝ったのが、当時の怪物シガーだったことを考えると、実力は結局未知数だったと言えますね。

1996年に種牡馬入り後、2001年に社台ファームにより輸入されていますが、クロフネはアメリカ時代に種付けした馬になります。数年間しかアメリカで種付けが行われていないせいかもしれませんが、アメリカ時代の活躍馬は2002年の最優秀古馬Left Bank(レフトバンク)ぐらいしかいません。

ただクロフネの活躍により日本での供用が開始されるとコンスタントに活躍し、エイシンデピュティやアドマイヤジュピタなど勝負強い馬を送り出していますね。サンデーサイレンス全盛期の時代に勝ち馬率4割3分というのは中々の数字ですね。

フレンチデピュティ産駒の特徴としては番手につけるつけるか後方待機策のどちらか極端な策をとる馬が多く、これはクロフネ産駒に似ている部分ではあります。比較的揉まれ弱いのがこの系統の特徴でもあります。

母系は妹がアメリカで重賞を二勝した程度の中級血統ですが、母の父Classic Go Go(クラシックゴーゴー)はアメリカで走って重賞未勝利の中級馬(50戦14勝)であるものの、その父系は短距離王国オーストラリアの系統のようで、スピードはこちらから受け継いでいるのかもしれませんね。

Icecapade(アイスカペイド)やRoberto(ロベルト)の血も見られますが、母系全体としてはあまり自己主張の強い血はなく、そう考えると身体能力で勝負するタイプだったと推測されます。

現役時代

1998年生まれで10戦6勝〔6-1-2-1〕。冒頭にも書いたように同期にはアグネスタキオン、ジャングルポケット、マンハッタンカフェなどがいるレベルの高い世代になります。

三歳の春までは圧倒的なスピードを武器に、余裕の走りで中距離を走りますが、突如現れたライバル、アグネスタキオンやジャングルポケットの後塵を拝することになり、凡走とはいかないまでもNHKマイルカップを勝って挑んだ日本ダービーは五着という中途半端な結果に終わります。

当時は外国産馬に出走制限があったため、目標としていた天皇賞秋への出走がかなわず、代わりに出走したのが初めてのダートとなる武蔵野ステークス(GⅢ)でしたが、これがなんと1秒4差の圧勝ととなります。しかも下したのが前年のNHKマイルカップの勝ち馬であるイーグルカフェであり、時計も1分33秒3という芝レース並みのレコードタイム(しかも良馬場)であり、一気に話題になります。

そしてこの結果を見て挑んだジャパンカップ・ダートでしたが、これまた昨年の勝ち馬ウイングアローを子ども扱いして7馬身差の圧勝。

これまた2分5秒9(良馬場)という当時としては異次元のスーパーレコードでしたが、リアルタイムで見ていて”何だこれは?”と思わせる内容で、一頭で調教していたような内容だったで驚きました。

最終的に怪我でこのレースが最後となりましたが、春先は普通の素質馬という感じだったものの、秋は”アメリカからこの時代に本当に黒船がやってきた”といった印象でした。

当時はこの馬ならアメリカに行って勝負になるかもしれないと期待しましたが、早期の引退は残念でしたし、僕が考えるダートの最強馬はやはり今でもクロフネですね。

種牡馬成績

2002年に社台ファームで種牡馬入りし、かなりの数の交配相手を集め、1年目からいきなりフサイチリシャールが朝日杯フューチュリティステークス(GⅠ)を勝ち、順調なスターを迎えます。

四年目からはトップ10入りを果たし、現在も安定して種牡馬ランキングの上位に顔を出しています。最高順位は4位ですが常に5位から10位あたりにはいるのでトップ種牡馬の一頭と言えますね。

これまで障害レースをのぞくと七頭のGⅠホースを送り出していますが、特徴的なのは牝馬の活躍馬が多い点であり、これは父フレンチデピュティにも同じようなことがいえますね。

また通算勝ち馬率4割3分、アーニングインデックスが1.2というのも父親と同じような傾向を示しています。

 

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主な産駒

ホエールキャプチャ

母の父:サンデーサイレンス 母の母の父:Nashwan(ナスルーラ系)

チヨダマサコに遡る日本の名牝系出身の同馬ですが、三歳時は牝馬クラシックを勝ちきれないものの善戦します。

古馬になってからは徐々に苦戦し始めて出入りの激しいレースをしますが、面白いのは東京コース限定での好走です。

結局ヴィクトリアマイルには三回挑んで1着、2着、4着と安定した走りを見せていますが、それ以外の特に時計のかかるようなレースで凡走しており、軽い馬場や三歳時の緩いレースなどストレスがあまりないレースで好走していたことになります。

カレンチャン

母の父:トニービン 母の母の父:マルゼンスキー

カレンチャンの場合18戦して負けたの8回だけでうち二回は海外、あとは休み明けだったり、負けたのがロードカナロアだったりするので特徴(弱点見たなもの)が見つけにくいですね。

母系が比較的スタミナ型なのはちょっとした特徴ですが、この馬もホエールキャプチャと同じく牝系が古い日本の系統という点では共通しています。

スリープレスナイト

母の父:Nureyev 母の母の父:ノノコアルコ

この馬もカレンチャンと同じく短距離を好位で追走して、ゴール前でピュッとさしてくるということで共通点がありますね。

結局この馬も底を見せていないので難しいところですが、とにかく両馬ともに早いレースは得意だったという点では共通していますね。これはクロフネ産駒の特徴ではあります。

母系は祖母がヒシアマゾンを出したケイティーズで活躍馬が盛りだくさんの系統です。

フサイチリシャール

母の父:サンデーサイレンス 母の母の父:Mr Prospector
主な戦績:朝日杯フューチュリティステークス(GⅠ)、阪神カップ(GⅡ)、東京スポーツ杯2歳ステークス(GⅡ)

2歳時の安定した成績から一転して三歳の夏以降は普通の馬になってしまいました。

単純に早熟だったのかな?という感じはしますが、お母さんが重賞で活躍したフサイチエアデールだっただけにもうちょっと奥深さがあってもよさそうなもんでした。

アエロリット

母の父:ネオユニヴァース 母の父:Nureyev

まだ現役馬ですが、NHKマイルカップを制したほか、今年は高速決着となった安田記念の2着に粘りこみ、改めて速さを示しました。

デビュー当初のように負けるときは案外な同馬ですが、勝つときのパフォーマンスが特上というのがこの馬の特徴であり、早めのペースで行ってそのままゴールまでなだれ込めるスピードはやはり一流馬のものですね。

結局この馬もホエールキャプチャと同様東京コースでは好走してばかりであり、凡走した三回はいずれも馬場が湿っていますね。

クラリティスカイ

母の父:スペシャルウィーク 母の母の父:オジジアン
主な戦績:NHKマイルカップ(GⅠ)、朝日杯フューチュリティステークス(GⅠ)三着

NHKマイルカップの勝ち馬で現役馬ですが、最近は苦戦していますね。

ただ面白いことにこの馬もたまに走ったと思ったら東京コースだったというのはなぜなんでしょうね。

ブラックシェル

母の父:ウイニングチケット 母の母の父:トウショウボーイ
主な戦績:NHKマイルカップ(GⅠ)二着、日本ダービー(GⅠ)三着

クロフネ産駒は活躍馬が牝馬に偏っていますが、牡馬クラシックで唯一通用した馬ですね。

ダービーでも三着に来ているようにクラシックディスタンスで通用したのも珍しいですし、このあたりはウイニングチケットなどトニービンの血のおかげでしょうか。

この馬もさかのぼるとトウショウボーイなどが配合されているほか、牝系は日本古来の血が見られます。

テイエムジンソク

母の父:フォーティーナイナー 母の母の父:ダンシングブレーヴ

3歳時にデビューしたあとダートレースばかり走っていますが、本格化したのは古馬になってからで、やはりクロフネ産駒らしい小気味良いスピードが武器であり、負けるときはあっさり負けるのはいかにもという感じがしますね。

血統的に前述の馬たちと違うのは日本に合う軽い血が母系にないのが特徴と言えますね。

産駒の特徴と傾向

突然の激走タイプではない

なんだか忘れたころに突然激走して穴を開けている、もしくはいつ来るか分かりにくいイメージのクロフネ産駒ですが、重賞レースでの傾向を見ていると実は訳のわかない激走をしているわけではありません。

これまで重賞で40勝近くしているものの、七番人気以下での勝利はわずか4勝のみ(七番人気と八番人気が各二回)であり、五番人気以下でも5勝ということを考えると、ある程度の実力馬がちょっと人気を落とした時に来ているだけということがよく分かります。

これは特別レースでも同じような傾向を示しており、上級馬ほどこの傾向が強くなります。

芝・ダートともに1800mまで

クロフネ産駒のレースでの平均勝ち馬距離は芝・ダートともに1500m後半という数字がでていますが、この数字はトップ種牡馬の芝の平均距離にしてはかなり短めであり、距離に限界があることが分かります。

ダートの平均距離は仕上がりの早いダート系種牡馬などに比べると長めではありますが、パフォーマンスを十分に発揮できるのは2000m程度までと考えておいたほうが無難でしょう。

牝馬クラッシックへの出走はよく見られるものの、牡馬はクラシックレースにほとんど出てこないなど、トライアルの時点で通用していないと言えます。

日本で育まれた血との相性がいい

これは今回クローズアップするまで気づかなったのですが、活躍馬は母系に日本の牝系の血を引き継いでいるケースが多いですね。またそうでないにしても、近親に活躍馬が目立ちます。

最近はレースのスピード化が進んでいるのでこういったケースの場合、僕は時計勝負には弱いと判断するのですが、クロフネに関しては少しこのあたりを考慮する必要があるかもしれません。

自分のレースができないと脆い

クロフネ産駒にイマイチ超一流と呼べる馬が出てこないは、強い勝ち方をしたと思ったら、次のレースではあっさり負けるなど成績が安定しないためでしょう。

血統上あまり揉まれる弱いタイプなので同型馬が多いレースや、直線一気になりそうなスローペースはあまり歓迎しませんね。

どちらかと言えば早いペースを番手で追走するようなレースがクロフネ産駒の真骨頂でしょう。

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