キングカメハメハ産駒の特徴と傾向

キングカメハメハ

ディープインパクトに続いて取り上げる種牡馬は、彼のおかげで万年二位のイメージのついてきたキングカメハメハ(父Kingmambo)です。

現在のところディープインパクトの牙城を唯一崩せる可能性がありそうなのが、新種牡馬であるオルフェーヴルやディープが種牡馬デビューした時に首位だったこのキングカメハメハぐらいなわけですが、馬券的中を狙う上ではその取扱いは当然重要でしょう。

はたしてこのキングカメハメハはどんな産駒を送り出しているのかフォーカスしま手みたいと思います。(画像引用:社台スタリオンステーション「キングカメハメハ」より)

かつてのネイティブダンサー系のイメージを覆した大王

血統について詳しくは後で語るとして、キングカメハメハの父系を辿ると一時はアメリカを中心として世界を席巻したNative Dancer(ネイティブダンサー)ですが、日本以外で産駒が大活躍していたわりに日本での実績は乏しく、様々な種牡馬が輸入されたものの、オグリキャップ(父ダンシングキャップ)が登場するまでは走らない種牡馬としての認識が多数を占めていたと思います。

実際に僕が競馬を始めた90年代初頭に入り、その頃になると代を経てMr Prospector(ミスタープロスペクター)やAlydar(アリダー、いずれも父Raize a Native)の産駒が台頭し始めましたが、当時のネイティブダンサー系のイメージは”早熟で単調なスピードタイプであり、成長力に欠ける”というものでした。

当然GⅠで勝負できるような馬もほとんどおらず、唯一の例外がオグリキャップだったわけで、この馬も予想通り種牡馬入りして全く走る馬を出せませんでした。

そんな中、2000年代になりその常識をいきなり打ち破ったのが衝撃のダービー馬キングカメハメハだったわけですが、おそらく今の若い競馬ファンの中にはこの系統が、かつて上記のようなイメージだったことは全く想像できないことでしょう。彼の走りっぷりも衝撃でしたが、あのネイティブダンサーのひ孫が日本ダービーを勝つというのは血統ファンからしても衝撃だったわけです。

 

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現役時代

通算成績は8戦7勝。主な勝鞍はNHKマイルカップと日本ダービー(いずれもGⅠ)ほか。

唯一の敗戦は3歳初戦となる京成杯(GⅢ.中山芝2000m)のみとなるわけですが、何と言っても圧巻は日本ダービーであり、距離不安も囁かれる中、前半の1000mが57秒台という超ハイペースを先行して追走しながら一気に押し切り、なおおかつ2着のハーツクライに5馬身の着差をつけるというレース内容でした。レースタイムもかつてのレーコードタイムから2秒も早い2分23秒3というとんでもないもので、優れたスピードとその持続力、またスタミナまで備わっていることを証明したものでした。

関係者のコメントによると中山は不向きと見ていたようで、一瞬の加速よりもその豊富なスピードの持続力がこの馬の特性と見ていたようですね。また、主戦を努めた安藤勝己ジョッキーは確かNHKマイルカップのほうが難しかったというような趣旨の発言をしており、日本ダービーは誰が乗っても勝てるといったコメントをしています。

またこの馬を管理する松田国英調教師は、まだこの馬のピークは先だというようなことを言っていたと記憶しています。

血統

Kingmambo
1990 鹿毛

父の父

Mr.Prospector
1970 鹿毛

Raise a Native Native Dancer
Raise You
Gold Digger Nashua
Sequence
父の母

Miesque
1984 鹿毛

Nureyev Northern Dancer
Special
Pasadoble Prove Out
Santa Quilla

*マンファス
Manfath
1991 黒鹿毛

母の父

*ラストタイクーン
Last Tycoon
1983 鹿毛

*トライマイベスト
Try My Best
Northern Dancer
Sex Appeal
Mill Princess Mill Reef
Irish Lass
母の母

Pilot Bird
1983 鹿毛

Blakeney Hethersett
Windmill Girl
The Dancer Green Dancer
Khazaeen

(Wikipedia「キングカメハメハ」より)

父Kingmambo(キングマンボ)は父が大種牡馬Mr Prospector、母が世紀の名マイラーと呼ばれたMiesque(ミエスク)の初仔という超がつく良血馬であり、2歳時は7戦1勝(2着四回)とぱっとしなかったものの、3歳に入って本格化し、フランス2000ギニー(GⅠ、1600m)やムーランドロンシャン賞(GⅠ、1600m)などGⅠを3勝し6戦4勝(3着二回)といった成績を残し引退しました(通算13戦5勝)。妹のEast of the Moon(イーストオブザムーン)もフランスの1000ギニーとオークスを制するなど大活躍しました。

現役引退後は初年度産駒から日本で調教されたエルコンドルパサー(ジャパンカップ、NHKマイルC、サンクルー大賞、凱旋門賞2着)を出した他、マイル前後の距離を得意とする馬を多数輩出し、種付け料は一時2500万ドルともいわれるほどの超一流種牡馬となりました。他にも外国調教馬で超一流とまでは言えなかったアルカセットなどもジャパンカップを制するなど、すでに日本の馬場への適性も示していました。

また、アルカセットなどのようにマイルだけでなくクラシックディスタンス以上の距離をこなす馬も現れており、Nureyevの血が潜在的にスタミナ面を補強していたとも考えられます。

問題は母系なんですが、母のマンファスからは特筆するほどの活躍馬は出ておらず、近親もいまいちパッとしない点です。これが競馬の面白いところなんですが、このあたりは二流血統と言われたサンデーサイレンスが大活躍してなおかつ名種牡馬となったことと似ています。

母の父であるラストタイクーンは日本で供用されていたこともありますが、マイルから中距離を得意とするもののGⅠで勝つほどのスピードには欠けるどちらかと言えば特徴のない種牡馬だった印象です。ただ、個人的にはその父Try My Bestが名馬El Gland Senior(エルグランセニョール)の全兄で母の父もミルリーフということから、底力は決してないはずはないと見ていたのですが、それを見事キングカメハメハが証明してくれました。

ラストタイクーンの仔には、オースミタイクーンの他にサトノクラウンを送り出したMarjuなどがおりヨーロッパ型の芝での適性も感じます。

全体的な印象からベストはヨーロッパ競馬のマイルあたりが向いている印象ですが、エルコンドルパサーやアルカセットなどの例により日本競馬に抜群の血統的適性があったのが成功の原因なのでしょう。キングマンボと同様距離をこなせるマイラータイプという印象です。

代表産駒

ロードカナロア

母の父:Storm Cat 母の母の父:Comorant(Ribot系)

2008年産であり三世代目の産駒となりますが、短距離馬では日本競馬史上でもサクラバクシンオーとならび最強と言われる一頭です。19戦して13勝2着は五回、3着は1回のみとすべて馬券対象内の成績を残し一時代を築いた馬でしたが、この馬の名声を高めたのは香港スプリントを二年連続勝利している点もあるでしょう。

2017年ファーストクロップとなる産駒がデビューしましたが、スピードを活かした高い勝ち上がり率を示していますね。

ラブリーデイ

母の父:ダンスインザダーク(サンデーサイレンス系) 母の母の父:トニービン(Grey Sovereign系)

2010年産で主な勝鞍は天皇賞・秋と宝塚記念など、33戦9勝。3歳時はそれこそ普通の馬だったものの、5歳時に一気に本格化したあとは4連勝を飾るなど2015年にGⅠを2勝し、一気に一流馬の仲間入りをしました。ただ6歳になると走ってはいるものの詰め切れないレースをしていましたね。

母系はいずれもスタミナ型の配合で2000m以上で活躍していました。

ローズキングダム

母の父:サンデーサイレンス 母の母の父:Shirley Heights(Mill Reef系)

2007年産で25戦6勝。4歳の秋以降は6歳で引退するまで不振が続きましたが、2歳で朝日杯フューチュリティステークス(GⅠ)を制した後、明けて3歳になり皐月賞4着、日本ダービーと菊花賞はともに2着に入るなど、キングカメハメハの初期の産駒としてかなりの可能性と成功を予感させてくれるものでした。このクラシック戦線での善戦ぶりは誰もが母系のバラ一族の呪い(GⅠで2着3着が多い)だと感じましたね(笑)

3歳で挑んだジャパンカップはブエナビスタの1着からの降格というアクシデントはあったものの、古馬相手にも勝負になることは僕も少し驚きました。

古馬になってからは凡走することが多くなってきましたが、少し行きたがるそぶりを見せるようになり、晩年の不振も含めて精神的な要因が大きそうな馬でしたね。この3歳での活躍やGⅠでの善戦止まりぶり、古馬になっての不振はお母さんのローズバドとそっくりなので母系の影響が強かったのかもしれません。肉体的に距離は持つものの、精神的に我慢が効かないタイプだったように感じます。

ちなみにこの馬なんですが、ネット仲間で行っていたPOG(ペーパーオーナーゲーム)の指名馬であり、見事1位をとることができました。(他にはルーラーシップやフェデラリストを指名していましたが、この二頭などはゲーム期間中は活躍してくれませんでした)

ロードカナロアと同様2017年産駒がデビューしましたが、相手牝馬に恵まれておらず、まだ大物がでてきていません。しかしながら個人的には意外と重賞の一つぐらい勝つ馬は早めに出てくるのではと見ています。

アパパネ

母の父:Salt Lake(Deputy Minister系) 母の母の父:Spectacular Bit(Bold Ruler系)

ローズキングダムと同じく2007年産の牝馬であり、牝馬3冠の他、阪神ジュベナイルフィリーズを制しており。19戦7勝。戦績のほうもローズキングダムと同じく4歳の秋ぐらいから調子が下降をし始めて、引退時にかつての輝きが失われていました。今考えると世代的なレベルがそれほど高くなかった感じはありますね。

ホッコータルマエ

母の父:Cherokee Run(Blushing Groom系) 母の母の父:Unbridled(Mr Prospector系)

すべてダートのレースを走り、39戦17勝。3歳時はひ弱な面があったものの、古馬になってから本格化し、ダートのGⅠを10勝しました。注目はその成績の安定度で、ドバイワールドカップへの出走を三回挟みながら掲示板をはずしたのが新馬戦を含めてたった四回という安定ぶりです。GⅠに限定しても10-4-4-7という安定感です。

ほぼ先行しているようにこのスピードが成績の安定につながっていたように感じますし、距離は短いよりも2000m前後の距離がベストだったのでしょう。2009年産。

その他の活躍馬

ルーラーシップ・・・クイーンエリザベスカップ(香港GⅠ)を勝ち、天皇賞・秋とジャパンカップ、有馬記念など3着したほか、ほとんどのレースで大崩れしなかった。母はあのエアグルーヴであり母の父はトニービン。

ドゥラメンテ・・・皐月賞と日本ダービーを勝利したほか、ドバイシーマクラシックと宝塚記念で2着。母の父はサンデーサイレンスで、エアグルーヴの孫にあたります。

レイデオロ・・・日本ダービーを勝ち、3歳で挑んだジャパンカップで2着。母の父はシンボリクリスエスで祖母はディープインパクトの姉。

レッツゴードンキ・・・桜花賞馬。スプリンターズステークスや高松宮記念で2着もあり。母の父はマーベラスサンデーではあるもののあまり長い距離で結果を残していない。

産駒の特徴

上記の活躍馬を振りかえりながら僕のイメージと重ね合わせてみると以下のような特徴と傾向が見えてきます。

基本的に能力が高く、レースに行って器用

キングカメハメハ産駒の最大の特徴は個人的にはスピードの持続力と、その操作性の高さにあると僕は考えています。

もちろん基本能力も高いのですが、スローペースでも先行してじっと我慢できたり、ロングスパートにも対応でき、ハイペースになった時の時計勝負にも対応が可能であり、こういったレースに行っての頭の良さがこの種牡馬の持ち味であると感じます。またスピードが有り余り過ぎたり、他の馬が怖くてどうしても逃げないといけない馬が少ないという印象です。

好位追走が本当に得意な馬が多くレースがしやすいのでしょう。また、ダートも走れるパワーもあるし、洋芝もこなせるのでまさしく万能ですね。

距離が長い場合は後ろに控えることもできますし、何でもできるようなイメージがあります。

スピード能力の高さを感じさせるわりに長い距離に勝っている

キングカメハメハ産駒の一流馬を振り返ってみると、ディープインパクト産駒のように後方一気を得意としている馬が見当たらず、ほとんど馬が中団からやや前目の位置取りから競馬をしていることが多い印象があります。しかしながらこういった種牡馬だと、距離に限界がある馬が多かったりするものですが、上級馬はどちらかと言えば2000m以上で普通に活躍しており、最初に書いたようなかつてのネイティブダンサー系の距離がもたないというイメージがまったくありません。

実際の所、勝ち馬の芝での平均距離を調べてみてもディープインパクト産駒とほとんど変わらない17oom台後半であり、この数字は1900mのステイゴールドや1800mのハーツクライにはかなわないものの、マンハッタンカフェなどと似たような距離になっています。(クロフネやダイワメジャーは1500m台後半)

詰めが甘い

これは脚質的な影響も大きいかもしれませんが、基本的に2着や3着が多い種牡馬であるような印象があります。ディープ産駒が鋭く伸びて展開が向かずに3着や4着に来ているのに対して、キンカメ産駒の場合は直線で一瞬伸びかけて止まり2着や3着といった感じの馬が多いような印象があります。

恐らくこのあたりが潜在的なスタミナの足らない部分なのでしょうが、息の長い末脚が武器というよりも、8割ぐらいのスピードで走り続けるのが得意なタイプであり、ディープインパクト産駒とは対称的なかんじがします。

産駒は走るが一流馬と二流馬がはっきり分かれている

これもディープインパクト産駒との対称になりますが、ディープ産駒は底が割れるまでなんとなくどの馬も走りそうで大物感があるのに対して、キンカメ産駒の一流馬以外はGⅠにでるとなんとなく頭打ち感があります。

ヤマカツエースやマキシマムドパリ、サクラランブール、トーセンビクトリー何かを見てると一目瞭然ですが、GⅠだとスパッと馬券から切れて、しっかりと負けてくれます。あとはエアスピネルのような馬をどう判断するかなんですが、どちらかと言えばGⅢ向けの馬なのかもしれませんね。

グレードが上がるほど人気通り(人気していると信用できるし、人気がないと走らない)に買っていい馬であり、逆にグレードが下がると穴として見てもいい馬なのかもしれません。

一流馬は差していい脚を使えますが、一流半の馬は先行して粘るようなレースが多いですね。

好調時と不調時がハッキリしている

これはいかにもネイティブダンサーの血を引いていると言える傾向ですが、不調時は本当に走りませんね。またレースに行って器用な割に、気が強い馬が多そうなのでこういうところは精神面が影響しているのかもしれません。

連敗している時は穴ぽく狙う必要もないでしょうし、連勝中での同グレードレースへの出走や上り馬はラブリーデイのようなこともあるので、注意しておいたほうがいいのかもしれません。

Mr  Prospector系らしからぬ成長力と意外と信用できない?新馬戦

最近はクラシックの時期にピークを迎える種牡馬が多くなりましたが、意外と成長が遅いのもキンカメ産駒の特徴と言えるかもしれません。もちろんローズキングダムやアパパネのように少し早熟ぽい戦績を残す馬もいますが、レイデオロなどの一流馬は不調時期に入るまでは買い続けてもいいようなタイプに思えます。

頭打ちに陥るとどうしようもないディープ産駒に比べると、いつの間にかオープンにいる感じがしますね。

ビッグレッドファームや一口馬主クラブのラフィアン(マイネル軍団)の代表である岡田繫幸さんがテレビのインタビューなどでよく言っていますが、”キングカメハメハは筋肉が柔らかいので年を取っても走る(このクラスに並ぶのはサンデーサイレンスぐらい)”といった趣旨の発言をしていますし、”新馬戦はパンとしてないので信頼ができない”などといった発言をしています。

このあたりの専門家の発言に少しヒントがあるような気がします。

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