ヘニーヒューズ産駒の特徴と傾向

投稿者: | 2018年6月14日

春のGⅠシリーズが終わりに近づき残すは宝塚記念を残すのみとなりましたが、今週(2018年6月17日)はJRAの現時点での三歳馬のダート王者を決めるユニコーンステークス(GⅢ、ダート1600m)が開催されます。

過去にはユートピアやゴールドアリュールと言ったダートの一流馬が勝っていますが、近年もゴールドドリームやノンコノユメなど後のGⅠホースも勝ち馬に名を連ねています。グレードこそGⅢですが今後のダートのニューヒーローを探す上でも重要な一戦であることは間違いないでしょう。

今回はワイドファラオニューモーメントと、二頭のヘニーヒューズ(父ヘネシー)産駒が登録しているので、この種牡馬にフォーカスしてみたいと思います。

※以下の記事は2018年6月に最初に書かれた記事であり、時折最新の情報に更新しているので内容が前後する可能性があることをご了承ください。

 

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ヘニーヒューズ(Henny Huges)の血統

2003年 アメリカ産

*ヘネシー 1993
栗毛 アメリカ合衆国
父の父

Storm Cat 1983
黒鹿毛 アメリカ合衆国

Storm Bird Northern Dancer
South Ocean
Terlingua Secretariat
Crimson Saint
父の母

Island Kitty 1976
栗毛 アメリカ合衆国

Hawaii Utrillo
Ethane
T.C. Kitten Tom Cat
Needlebug

Meadow Flyer 1989
栗毛 アメリカ合衆国

母の父

Meadowlake 1983
栗毛 アメリカ合衆国

Hold Your Peace Speak John
Blue Moon
Suspicious Native Raise a Native
Be Suspicious
母の母

Shortley 1980
黒鹿毛 アメリカ合衆国

Hagley Olden Times
Teo Pepi
Short Winded Harvest Singing
Wind Cloud

まず父系は、現在のノーザンダンサー系種牡馬の中でアメリカで一番成功していると言ってもいいStorm Bird(ストームバード)Storm Cat(ストームキャット)の系統になります。

ストームバード系は、アメリカのダート競馬との相性は抜群で数多くの一流馬が存在しますが、(直系に限定すると)アメリカ競馬での活躍ぶりを考えるとこれまで日本で走ったストームバード系の産駒はあまり活躍しているとは言えませんでした。

ヘニーヒューズの父ヘネシーの産駒が日本に登場するまでは、スキーキャプテン(きさらぎ賞:GⅢ)やシーキングザダイヤ(ニュージーランドトロフィー:GⅡ)が活躍した程度で、気性が激しく一本調子な競馬しかできないという印象でした。

ただ、その後ヘネシーやその子ヨハネスブルグの産駒が日本で本格的に走り始めると、高い勝ち馬率を示したことにより風向きが変わり始めます。同系統の種牡馬が日本にもちこまれるようになり、2014年からはこのヘニーヒューズの日本での供用が開始されています。

ヘニーヒューズの父Hennessy(ヘネシー)はBCジュベナイルで2着(通算9戦4勝)した一流馬で2001年にリース種牡馬として日本で一年だけ供用されていますが、その中からサンライズバッカス(フェブラリーステークス:GⅠ)が登場しています。

アメリカも含めて全体的な傾向としては2歳時から活躍する早熟タイプの馬が多く、3歳の秋には勝てなくなる傾向があります。

また、この系統の面白いところあは、種牡馬入りして走らないと思ったら突然活躍馬が出てり、またその逆もあるなど日本だけでなくアメリカの生産者を振り回している点ですね。近年無敗の米三冠馬となったJustify(ジャスティファイ)はヘネシー産駒で日本にも輸入されたヨハネスブルグの孫にあたります。ただヨハネスブルグは日本で供用されて一年目の産駒は走ったものの、それ以降はパッとしない内容でした。

ヘニーヒューズの母系に目をやると、現在ではかなり異系色が強い配合になっています。

プリンスキーロ系のMeadowlake(メドウレイク)が母の父で、母の母の父もRelic(レリック)系のHagley(ハグレイ)と最近では珍しくなってきた配合です。配合的に少し古い印象を受けます。

母系は近親に活躍馬はある程度いるものの一流とは言えません。

ヘニーヒューズ自身の血統を総括すると、五代までさかのぼっても現在ほとんどの馬に入っているミスタープロスペクターやダンジグ、ヌレイエフ、ターントゥなどの血がないので、現在の日本の繁殖牝馬ならほとんど気にすることなく配合できるのが強みと言えます

ストームバード系やブリンスキーロの系統は単純なスピード勝負には強い、前向きな気性の血なのでやはりこのあたりが武器になってくると思います。

反面、主流血統をあまり含んでいないということは、父系の特徴が出やすくなりやすいので、単調なタイプが多く大舞台での弱さが弱点となってくると思われます。やはりこういった種牡馬は仕上がりの早さや単純な身体能力で勝負するタイプが多いですね。

現役時代

2003年産で通算成績は10戦6勝(6-3-0-1)。

二歳時にデビューしてBCジュベナイルでは二着に入った他、引退レースとなったBCスプリントで14着と大敗した以外はすべてのレース(5Fから7F)で連対しています。

ヴォスバーグステークス(GⅠ、ダート6F)では現在種牡馬として活躍するWar Front(ウォーフロント)を1分8秒13の好タイムで下しているほか、GⅠを計2勝しています。

種牡馬成績

引退後アメリカで種牡馬生活を送っていたものの、日本に輸入されたのが2013年の暮れなので産駒が本格的にデビューしたのは2017年からになります。

2016年までの種牡馬ランキングはいわゆるマルガイ馬と持ち込み馬だけなので種牡馬ランキングはいずれも100位手前(ただし中央重賞6勝)、2歳馬がデビューした2017年は56位という結果でした。

これまで中央で120頭近くがデビューして勝ち馬率が3割9分近く(2019年6月現在さらに勝ち馬率は上がって4割3分になっています)あるので、種付け料が100万円台だったの種牡馬としては立派な成績でしょう。(当初180万円だった種付け料はどんどん上昇し2019年は400万円まで上昇しています

アーニングインデックスは0.7程度なので条件馬が多いということになります。

主な産駒

Beholder(ビホルダー):アメリカ

母の父:Tricky Creek(Icecapade系) 母の母の父:Stop the Music(Hail to Reason系)
主な戦績:BCディスタフ(GⅠ、アメリカ)二回、BCジュベナイルフィリーズ(GⅠ、アメリカ)他GⅠ計11勝

2010年生まれの最強牝馬の一頭で26戦18勝(うちGⅠ11勝)二着7回というとんでもない牝馬です。現役時代の2歳から5歳の四年間のいずれでそれぞれの世代の最優秀牝馬に選ばれています。

母系はの血統はアイスカペイドの系統にヘイルトゥリーズンの系統が配合されており、血統的強烈さはないもののバランスがよく、逆に父系の良さである良質なスピードを出しているのかもしれませんね。

兄のInto Mischief(イントゥミスチーフ)は種牡馬として活躍中ですし、や弟のMendelssohn(メンデルスゾーン)は現役馬ですがGⅠをすでに勝利しており活躍の下地は十分だったと言えます。

いずれの兄弟もストームキャット系種牡馬であるHarlan’s Holiday(ハーランズホリデー)とScat Daddy(スキャットダディ)が配合されており、この母系とストームキャット系の相性がいいのでしょう。

ただアメリカにヘニーヒューズが残してきた産駒ですが、ビホルダー以外は大物がいません。

モーニン

母の父:Distorted Humor(フォーティーナイナー系) 母の母の父:Cozzene(カロ系)
主な戦績:フェブラリーステークス(GⅠ)、根岸ステークス(GⅠ)、かしわ記念(GⅠ、浦和)三着

2016年のフェブラリーステークスの勝ち馬ですが、デビューから七戦での勝利はお見事だったものの、若干相手に恵まれていた印象はあります。

その後は地方の交流戦ではたまに好走するものの、中央ではイマイチで、先日のコーラルステークス(OP)が久々の勝利になりました。

現在は骨折休養中で引退も取りざたされますが、1400m以下だと比較的成績も安定しているので、距離的な壁もあるのでしょうか。

血統に関しては母系に活躍馬はあまり見られず、意外と芝が得意な血が入っていますね。

アジアエクスプレス

母の父:Running Stag(カロ系) 母の母の父:Notebook(ボールドルーラー系)
主な戦績:朝日杯フューチュリティステークス(GⅠ)、レパードステークス(GⅢ)、スプリングステークス(GⅡ)二着など

アメリカ時代の産駒であり、唯一の芝の重賞の勝ち馬ですね。

短い間ですがダートでも活躍しており、スピードとパワーを持ち合わせていたのでしょう。ダートで四回負けていますが、いずれも時計が早かったのが気になります。

現在は種牡馬入りしているようですが、血統は確かに悪くなく、さかのぼると早世したDubai Millennium(ドバイミレニアム)やティンバーカントリーなど世界クラスの名馬が近親にいますね。

母系はナスルーラ系同士の配合ですが、少しトレンドからは外れている感じです。

ケイアイレオーネ

母の父:Marquetry(ミスタープロスペクター系) 母の父:Spectacular Bid
主な戦績:シリウスステークス(GⅢ)、ジャパンダートダービー(GⅠ、大井)三着

二歳時に三連勝して、三歳の夏は勝ちきれないレースが続きますが四戦続けて重賞で好走しています。

大井に転籍したあとは重賞では通用しないものの平場で勝ち星を稼いでいますね。

 

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産駒の特徴と傾向

早熟で賞味期限は四歳の春まで

本格的に産駒が出始めてまだ二世代しかいないので何とも言えないところですが、活躍馬やストームキャット系のこれまでの歴史を考えると早熟傾向が強く、二歳戦や三歳の春がピークの可能性が高くなります。

上級馬の活躍も四歳になって目立ったものがないので、今のところ買えるのは四歳で迎えるフェブラリーステークスあたりまでと言ったところでしょうか。

現在ダート界で最強と目されるルヴァンスレーブを唯一下したのがヘニーヒューズ産駒のドンフォルティスですが、古馬になって普通の馬になってしまったのはいい例でしょう。

ワイドファラオも中央ではそろそろ怪しくなってきそうな気がします。

高い勝ち上がり率

上位種牡馬になれば勝ち馬率が4割近くになりますが、これらと同じぐらいの勝ち上がり率の高さを誇り、かなり優秀な種牡馬と言えます。

現在のところ中央に所属する同産駒のほとんどが三歳以下なのでアーニングインデックスが低いのですが、新馬線や未勝利戦から動いてくる可能性は高くなります。

ただ新馬戦や未勝利戦を早々と勝ち上がってくるというよりも、下級条件で善戦して賞金を積み上げてくるタイプなのであまり単勝向きの種牡馬ではないような気がします。(ただそこまで新馬戦の勝率が悪いわけではありません)

未勝利戦や1勝クラスであれば人気薄でも狙いたい種牡馬ですね。

ダートは得意 人気薄でも激走の可能性

基本的に勝ち鞍の九割がダートなのでダート向きの種牡馬なのは間違いありません。芝はこなす馬がいるという程度の認識でいいでしょう。

下級条件のダートだと人気薄でも突然激走することが多く、芝からダート替わりや競馬場が変わる場合などは狙っても十分面白いと思います。

前走の大敗から一転して激走してくることがあるので、若いうちはあまり実績があてになりません。

短距離向きだがダート1,800mの成績は良い

芝、ダートともに勝ち馬の平均距離は1400m台であり、これは上位の種牡馬に比べると300m程度短くなります。

芝ではあまり結果を残せておらず1400mでもギリギリだと考えておくべきでしょう。

感覚的にはダートも走るアドマイヤムーンと考えておくのがいいかもしれませんね。

ただ、ダートの1800mの成績はかなり意外とよく、マイルより圧倒的に成績はいいですね。

ただ本質的には短距離向きなので、下級条件が大前提ということは忘れないほうがいいでしょう。

また面白い傾向として、1400m以下とマイル~1800mを比べると、前者のほうが勝率が若干ですが高いのに対し、それ以上の距離になると連対率、複勝率ともに後者のほうが高いという不思議な傾向を残しています。

得意距離で馬券から飛ばれる可能性のほうが高いので、若干長めの距離で穴として押さえておいたほうがおいしい種牡馬ですね。

ローカル向きではない

ヘニーヒューズのような比較的特殊な種牡馬になると中央開催よりもローカルのほうが成績が良さそうですが、まったく逆の傾向を示しています。

阪神競馬場だけ勝率は8%程度に終わっているものの東京の13%を筆頭に、中山、京都でもそれに次ぐ勝率を誇ります。

ローカルが全く苦手というわけではないのですが、このあたりは相手関係が関係しているような気がします。

底力はないが超大物が出てくる可能性はあり

父ヘネシーや同じヘネシー産駒であるヨハネスブルグと同様にヘニーヒューズ産駒は早熟で底力に欠けるスピードタイプだと判断しておいてほぼ大丈夫でしょう。

ただ、やはり現在のアメリカでこの系統から前述のビホルダーや2018年には三冠馬ジャスティファイ(父Scat Daddy)など超大物がでてきているので、軽視はできません。

おそらく基本的には二勝馬や三勝馬が多く出てきて、オープンの壁に跳ね返されるというパターンがほとんどなのでしょうが、もしかしたらいずれ爆発的なスピードを武器としたスピード馬が出てきても不思議ではありません。

先日の安田記念を好時計で勝ったモズアスコットの母の父はヘニーヒューズの父親のヘネシーなので一流馬は時計勝負にも対応できると思います。

印象的なレースはするものの実は勝ちきれない

これはストームキャット系の血を引く馬全般に言えることですが、古くはスキーキャプテン(父ストームバード)をはじめ、キズナ(母の父がストームキャット)やサトノアラジン(母の父ストームキャット)など爆発力のある末脚を見せる馬が結構でてきます。

しかしながらどの馬も勝つときはハマった感が強く、どちらかと言えば人気して微妙に負ける・詰め切れないレースが多くなっています。

決して二番手、三番手から横綱相撲で勝つタイプではないので、人気しすぎると少し危ないタイプの種牡馬かなという印象があります。

先行馬はどちらかといえば前に行って粘りこむタイプが多いのも理由でしょう。

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