ハービンジャー産駒の特徴と傾向



 

競馬において血の繁栄は意外と儚い(はかない)もので、日本だけを見てもナスルーラ系のテスコボーイ、トゥルビヨン系のパーソロン、ノーザンダンサー系のノーザンテーストなどがトップ種牡馬として長年君臨しましたが、その直系は現在驚くほど細いものになっています。

代わって現在日本の競馬界を占拠している状態なのがサンデーサイレンス系であり、ディープインパクトなわけですが、当然この血が広がりすぎると逆に繁殖が行えなくなり行き詰ったしまいます。

それを見越して日本の競馬生産界のトップである社台グループは非サンデーサイレンス(Turn-to)系の種牡馬の導入を積極的に進めているわけですが、そのうちの一頭がイギリスで走っていたハービンジャーとなります。

種牡馬の世界は当然水物なので、当然社台グループもこれまで導入して失敗した種牡馬もいたわけですが、当初は思ったほど走らないと思われたハービンジャーも2017年はGⅠホースを三頭も送り出し、一気のブレイクとなり昨年はまさしくビンテージイヤーとなりました。

2018年のクラシック戦線でもブラストワンピースという有力馬を送り出し、たまたまではなかったことが証明されたわけですが、今回は今一番熱いと言ってもいいハービンジャーを分析してみたいと思います。

 

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ハービンジャーの血統

Dansili
1996 鹿毛

父の父

*デインヒル
1986 鹿毛

Danzig Northern Dancer
Pas de Nom
Razyana
1981 鹿毛
His Majesty
Spring Adieu
父の母

Hasili
1991 鹿毛

Kahyasi
1985 鹿毛
*イルドブルボン
Kadissya
Kerali
1977 鹿毛
High Line
Sookera

Penang Pearl
1996 鹿毛

母の父

Bering
1983 栗毛

Arctic Tern Sea-Bird
Bubbling Beauty
Beaune Lyphard
Barbra
母の母

Guapa
1988 鹿毛

Shareef Dancer Northern Dancer
Sweet Alliance
Sauceboat Connaught
Cranberry Sauce

まずハービンジャーを語るうえで重要なのは祖父のデインヒル(Danehill)です。

デインヒルと言えばシャトル種牡馬(南半球などへの貸し出し。日本でも供用されていたことがあります)の先駆けとも言える種牡馬であり、ヨーロッパだけでなく特に南半球では産駒が大活躍して、オーストラリアでは九度もリーディングサイアーに輝きました。ヨーロッパでもデインヒルの血を引き継ぐ一流馬や種牡馬が大変多いですね。

武器は父Danzig(ダンジグ)譲りの高いスピード能力の他に配合によっては距離をこなすなど、少し勝負弱かったダンジグに底力とスタミナを追加したようなタイプであり、このあたりが成功につながっているのでしょう。

ハービンジャーの父Dansill(ダンシリ)はアメリカ産でフランスを中心に走った馬ですが、現役時代はマイル戦線を中心に走った一流半の馬だったもののフランスで繁殖入りして成功を納めます。

フランスで一度リーディングサイアーで輝くなど数々の一流馬を送り出していますが、特徴は自身がマイルを中心に活躍していたものの、産駒は中長距離を中心に活躍している点です。

母系は特筆すべき近親がいるわけではなくミドルクラスという感じで、母の父系はかつて最強馬ともいわれたSea-Bird(シーバード)の血をひくBering(ベーリング)ですが、こちらも最強馬の一頭ダンシングブレーヴが勝った時の不幸な二着馬であり、産駒には英2000ギニー馬のペニカンプなどがいますが、この系統は安定して一流馬を送り出すわけではなく一発型の種牡馬となります。

現役時代

三歳の春にイギリスデビューし、三戦目にはゴードンステークス(GⅢ、芝12F)で勝利を収めたものの、その後の二戦は大敗。

半年の休養後、四歳になると本格化を迎え重賞を三連勝。

GⅠ初挑戦となる大一番キングジョージ6世&クイーンエリザベスステークス(GⅠ、芝12F)は二番人気で迎えると、なんとレース史上最大着差となる11馬身差で圧勝し、タイムも2分26秒78のコースレコードという凄まじい内容で、史上2位のレーティング(135ポンド)を与えられています。

その後骨折のため引退し、通算成績は9戦6勝。

種牡馬成績

引退後すぐに社台ファームに購入されたため、2014年に第一世代が日本でデビューしていますが、一年目は春のクラッシックに出走できたのがペルーフのみでしたが、三世代目となる2017年にペルシアンナイトが皐月賞で2着に入ったあとは牝馬クラシックでもモズカッチャン、ディアドラが活躍し、一気にブレイクしてこの年GⅠを三勝しまたね。

2018年も6月1日現在6位につけており、最終的に上位に来ることが予想されます。

2014年 55位
2015年 14位 重賞2勝(京成杯、京都2歳S)
2016年 9位 重賞1勝(京成杯)
2017年 6位 重賞6勝(秋華賞、エリザベス女王杯、マイルチャンピオンシップ他)

 

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主な産駒

ペルシアンナイト

母の父:サンデーサイレンス 母の母の父:Nureyev

春のクラシックは皐月賞で2着、日本ダービーは7着と好走しましたが、秋は距離が長いと見てマイル路線に方針転換し見事マイルチャンピオンシップ(GⅠ、芝1600m)を勝利しました。

年が変わって2018年もメンバーの揃った大阪杯でスワーヴリチャードの二着にくるなど、改めて地力の高さを示しました。

後方からの競馬が多いものの、末脚が鋭いというよりもいつの間にか来ているというようなレースが多いですね。ただ、気になるのは東京コースを三回走って一回も勝っていません。

伯父にダートの魔王ゴールドアリュール(父サンデーサイレンス)がいる他、近親にダートの活躍馬が多いですね。

母系はサンデーサイレンスをはじめとしてヌレイエフやニジンスキー、ヴェイグリーノーブルなど底力のありそうな馬が配されています。

モズカッチャン

母の父:キングカメハメハ 母の母の父:Storm Boot(Storm Cat系)

春はオークスを2着したあと、秋になり二戦ほど詰め切れないレースが続きましたが、エリザベス女王杯では古馬を破って見事ハービンジャー産駒GⅠ二勝目となりました。

この馬はペルシアンナイトやディアドラに比べると前に行けるのでレースがしやすい感じがしますが、新馬戦をはじめとして休み明けがいずれも凡走していますね。

負けるときは全くレースの流れに乗れていない感じがしますね。

近親にはクイーンエリザベス2世S(英GⅠ、芝8F)などを勝った種牡馬Poet’s Voice(父Dubawi)などがいるほか、ダートで活躍したゴールドティアラ(父Seeking the Gold)がいます。

母系はキングカメハメハ×ストームキャット系のストームブート×Danzig系のChief’s Crownということで中距離をこなせるスピードタイプが多いですね。

大負けはしないもののどちらかと言えば善戦タイプなのは母の父キングカメハメハぽいですね。

ディアドラ

母の父:スペシャルウィーク 母の母の父:Machiavellian

桜花賞を迎える時点ですでに8戦しており、後にGⅠを勝つような雰囲気はなかったのですが、桜花賞は6着、オークスは4着と好走しましたね。

少し休養を挟んだ後三連勝で秋華賞を勝利し、ハービンジャー産駒念願のGⅠ初勝利をあげますが、エリザベス女王杯はいいところなく敗れています。

上記に頭に比べると少し不器用そうで後ろからの競馬になりますが、切れ味鋭いというよりも長くいい脚を使う感じですね。

母系はスペシャルウィーク×マキャベリアン×ヌレイエフということでペルシアンナイトやモズカッチャンほどではありませんがやはりスピード血統ですね。

従兄弟にはダービー馬ロジユニヴァースいるほか近親に活躍馬もいるのですが、この馬の近親もダートで活躍していますね。

府中牝馬ステークスでは上り32秒3というとんでもない上がりを記録しました。

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産駒の特徴と傾向

ハービンジャー産駒はディープインパクト産駒やハーツクライ産駒に比べると重賞であまり人気しない馬が多いのですが、理由として成績が不安定であったり、主流レースというよりも別路線から流れてくる馬が多いのがどうも理由のような気がしますね。

また買うと来ない、切ると飛んでくるというように馬券的にも難しい種牡馬だという印象があります。

ダートは超苦手

ハービンジャー産駒はルーラーシップと同じように明らかにダートを苦手としており、2018年6月現在、芝で約280勝しているのにダートでたった20勝しかしていません。(それから半年経っても芝で30勝しながらダートでは2勝しかしていません)

しかもルーラーシップのダートでの勝率が8%あるのに対して、約600戦しての20勝なので3%というとんでもない苦手ぶりで、これは同じようにダートが苦手なアドマイヤムーンをも下回る数字です(アドマイヤムーンは約1300戦して約60勝)。

当然ダートを走っている馬は未勝利戦や下級条件ばかりで、スピードがない馬がこちらにまわっているものの、パワーや前向きさがないので苦手にしているのでしょうか。

一通りダート競争の戦績を調べてみましたが、四番人気以下だとダートは消しでOKす!。

一流馬は母系にスピードとパワーが必要?

これはまだサンプルが少ないのであくまで推測なのですが、上記に挙げたGⅠホースの三頭とも近親に結構なレベルで活躍したダートの活躍馬がいます。

また共通点として挙げられることとしてスタミナよりもスピードよりの配合が多く、ハービンジャーの弱点を補完するような配合がいいのかもしれません。

GⅠホース三頭の母系にノーザンダンサー系の主要種牡馬であるヌレイエフやダンジグが配合されているのも共通点に挙げられますね。

上記三頭以外も母の父はサンデーサイレンスなどのスピード系種牡馬なのが特徴です。

ペルーフ・・・サンデーサイレンス
ブラストワンピース・・・キングカメハメハ
トーセンバジル・・・フジキセキ



 

切れ味よりも機動力で勝負

上級馬での33秒台前半で上がってくる馬はさすがに見当たりませんが、上りタイムなどでは比較的上位に来ることが多いですね。

顕著な傾向を示しているわけではありませんが、東京コースで好走しているのがモズカッチャンぐらいなので、4コーナーなどコーナーワークでいつのまにか進出してくる馬が多いこともあり、まっすぐのヨーイドンは苦手という印象があります。

と、書いていたらディアドラさんが府中牝馬ステークスで32秒3というとんでもない上がり時計をたたき出しましたがこれは例外中の例外でしょう。

決め手がないとはいいませんが、馬の格や身体能力で勝負するタイプなので、直接対決や負けたレースの敗因がはっきりしない場合は力負けとみて評価を下げる必要があります。また道中での機動力が高く勝負所でついていけるので大崩れはしにくい馬が多いですね。

産駒は上級馬と下級馬に分かれる

これは種牡馬ランキングなどを見ていると一目瞭然ですが、勝ち馬率が毎年2割5分程度(通算では3割ちょい)ということでトップ10に入っている種牡馬としてはかなり低目の数字となります。

また平均的な産駒のレベルを示すアーニングインデックスも通算では1を切っているので、かなり走る馬と走らない馬に分かれていることが言えます。

似たような傾向を示しているんがステイゴールドやオルフェーヴルの系統なのですがダートが苦手なところはそっくりですね。

まだ超がつく大物はでていませんが一発型の種牡馬と言えます。

僕がPOGで指名していたモズカッチャンの全弟モズリュウオウなんかはさっぱり走らずいまだ未勝利で、さっき調べたら地方に流れていったみたいです(笑)。

調子のいい馬を重視

モズカッチャンなどのイメージなどから休み明けや新馬戦を苦手とするイメージがありますが、上級馬の戦績を調べてみると意外と新馬戦を勝利しています。

そこに共通しているのは一番人気、もしくは上位人気だったという点です。最近新馬戦を勝利した馬を見てもほぼ上位人気であり、訳が分からない馬が勝っているというよりも、動きのいい馬が勝っていると言えます。

モズカッチャンの新馬戦などは十番人気(結果は6着)だったぐらいですから、それほど動きが悪かったのでしょう。

ただ、好走する場合は比較的上位人気のことが多いので、調子のいい人気薄の馬を狙うというよりも、近走調子のいい馬や底が割れていない馬以外はあまり信頼できないという見方でいいでしょう。

このあたりダンジグ系らしい傾向と言えますね。

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