かつてノーザンダンサー系の中ではナンバーワンのスピードを誇った種牡馬
1990年代までの日本の競馬界、特にサンデーサイレンスの登場以前は、ノーザンテーストが一時代を築いた後、次いでトニービンやブライアンズタイムなどが種牡馬として台頭していた時代でした。
そして、当時は外国産馬や持ち込み馬(母馬が海外で受胎した状態で来日し日本で出産した馬)が非常に活躍していた時代でもありました。
走るかどうか分からない内国産馬を競りなどで購入するぐらいなら、外国から同じぐらいの金額で馬を買ってきて走らせたほうが確実ということで、そういった方針の馬主の方もいましたね。
当時の海外種牡馬はSadler’s Wells(サドラーズウェルズ)やNureyev(ヌレイエフ)、Caerleon(カーリアン)などがよく知られた存在で、鳴り物入りでデビューすることが多かったわけですが、その中でも”とにかく早い!”と思わせる種牡馬が今回取り上げるDanzig(ダンジグ)でした。
日本でもアグネスワールドやヤマニンパラダイス、ビコーペガサスなどがGⅠでも活躍しましたが、その武器は何と言っても圧倒的なスピードでしたね。
そんなインターネットも発達していなかった時代から20数年経ち、日本ではサンデーサイレンス系が外国産馬を駆逐し状況は逆転しました。
前述の種牡馬たちもサドラーズウェルズのように代を経てさらに世界中で発展したり、カーリアンのように直系が思った以上に伸びなかった種牡馬もいますが、今回はNorthern Dancer(ノーザンダンサー)系種牡馬の中ではスピード性能だけならナンバーワンと言われたダンジグの系統が今どういった状況なのかを調べてみたいと思います。
※かつて日本ではダンツィヒやダンチヒといった呼び方がされていましたが、現在はダンジグといった呼び方が多いのでこちらで統一します
Contents
Danzig(ダンジグ)の血統
1977年 アメリカ産
父
Northern Dancer 1961 |
父の父
Nearctic 1954 |
Nearco | Pharos | |
Nogara | ||||
Lady Angela | Hyperion | |||
Sister Sarah | ||||
父の母
Natalma 1957 |
Native Dancer | Polynesian | ||
Geisha | ||||
Almahmoud | Mahmoud | |||
Arbirator | ||||
母
Pas de Nom 1968 |
母の父
Admiral’s Voyage 1959 |
Crafty Admiral | Fighting Fox | |
Admiral’s Lady | ||||
Olympia Lou | Olympia | |||
Louisiana Lou | ||||
母の母
Petitioner 1952 |
Petition | Fair Trial | ||
Art Paper | ||||
Steady Aim | Felstead | |||
Quick Arrow |
1977年にアメリカで生まれた競走馬となります。。
父ノーザンダンサーは世界に君臨した大種牡馬で、地域や距離を問わずさまざまな一流競走馬・種牡馬を世に送り出し、世界を席巻しました。
母Pas de Nomは42戦9勝の中級馬で、三代母はSteady Aimが英オークス馬となりますが、これぐらいの血統の馬はどこにでもいる感じですね。
母の父Admiral’s Voyageは遡るとTeddy(テディ)にいきつき、スピードやパワーを備えた種牡馬の系統ですが、テディ系は一時勢力を拡げたものの現在はあくまで母系に入って丈夫さや底力を与えているにとどまる印象です。
母の母の父の系統はFair Trial(フェアトライアル)に行きつきますが、こちらもスピード型種牡馬と言えますね。
全体的にはクラシックディスタンスが全盛の時代に短距離系の血て構成された当時としては珍しいタイプの種牡馬と言えます。
現役時代
現役時代はアメリカで走り、未勝利戦と一般戦を走ったのみで3戦3勝。
1979年6月 未勝利戦 ダート5.5ハロン 1分3秒6 1着 (着差:8馬身1/2)
1980年5月 一般戦 ダート6ハロン 1分9秒4 1着 (7馬身1/2)
1980年5月 一般戦 ダート7ハロン 1分22秒0 1着 (5馬身3/4)
戦った相手が微妙ですがタイムや着差のパフォーマンスを見ると素質を感じさせ、これが種牡馬入りにつながったようです。
主な産駒
当初は種牡馬として期待されていなかったダンジグですが、アメリカで種牡馬入りすると一年目から活躍馬を送り出しました。
1991年から三年連続で北米リーディングサイアーに輝いています。
Chief’s Crown(チーフズクラウン)
母の父:Secretariat(Bold Ruler系)
1982年産で初年度産駒となりますが代表産駒にしてダンジグ系の発展に貢献した馬ですね。
三冠レースはいずれもケンタッキーダービー3着、プリークネスステークス2着、ベルモントステークス3着と善戦どまりに終わっていますが、トラヴァーズステークスやBCジュベナイルなどGⅠをGⅠを8勝しており全米2歳チャンピオンにも輝いています。
産駒からは英ダービー馬Erhaab(エルハーブ)を出しているほか、活躍馬を多数送り出しましたが現在直系に勢いがありません。
日本にはBCターフなどを制したChief Bearhart(チーフベアハート)が輸入され、マイネルキッツ(天皇賞春)などを送り出しましたが成功したとは言えませんね。
Danzig Connection(ダンジグコネクション)
母の父:Sir Ivor(Turn-to系)
1983年でベルモントステークスを制するなど17戦6勝。GⅠは2勝したのみですが、掲示板を外したのはBCジュヴェナイルの12着のみと安定した成績を残しています。
種牡馬としては大物感に欠ける産駒が多く、成功しませんでした。
今は種牡馬として名前を見ることがほとんど見ることがありませんね。
Shaadi(シャーディ)
母の父:Hoist the Flag(Ribot系)
1986年アメリカ産ですがイギリスを中心に走り愛2000ギニーやセントジェームズパレスSなどを勝利しています。
アメリカだけでなくヨーロッパのためるレースで勝ち負けできることを証明できた意義は大きかったですね。
アイルランドで供用されたあと、日本にも輸入されましたが地方で活躍馬を送り出した程度で直系は延びていません。
Polish Precedent(ポリッシュプレセデント)
母の父:Buckpasser
この馬の1986年アメリカ産馬ですがシャーディーと同じくヨーロッパで活躍します。
若干出てくるのが遅かったのでクラシックレースには出ていませんが、ジャックルマロワ賞やムーランドロンシャン賞など一流レースに勝利しています。
産駒からはジャパンカップなどGⅠを6勝したPilsudski(ピルサドスキー)などを送り出しています。ただピルサドスキーは日本で種牡馬入りするも失敗に終わり直系はのびませんでした。
Adjudicating(アジュディーケーティング)
母の父:Reviewer(Bold Ruler系)
1987年生まれで二歳時にシャンペンSなどGⅠを二勝しています。
引退後はアロースタッドで供用され、地方競馬で八年連続リーディングサイヤーに輝くなどダートの短距離で活躍馬を送り出しました。
二年連続地方の年度代表馬に輝いたアジュディミツオーが種牡馬入りしましたが、最近産駒が走っていないので直系の存続は厳しいですね。
Dance Smartly(ダンススマートリー)
母の父:Smarten(Turn-to系)
1988年カナダ産の牝馬です。
現役時代はカナダで走り三冠レースを勝利した後、アメリカのBCディスタフを制するなど17戦12勝しており、カナダとアメリカの両国で殿堂入りしています。
弟には種牡馬として大活躍したSmart Strike(父Mr Prospector)がいます。
Pine Bluff(パインブラフ)
母の父:Halo(Turn-to系)
1989年産で米三冠の第二戦プリークネスステークスなどを制しています。ケンタッキーダービー、ベルモントステークスは5着、3着。
ヤマニンパラダイス
母の父:Alydar
1992年生まれの牝馬です。
阪神3歳牝馬ステークス(GⅠ)まで三連勝でしたが、圧巻だったのは三戦連続でレースレコードで走ったことですね。
抜群のパフォーマンスでとにかく強いという感じでしたが、怪我して復帰後はダンジグ産駒らしく普通の馬になってましたね(笑)。
アグネスワールド
母の父:Seattle Slew
1995年産。現役時代は2歳から走り、最初は単なる早熟のスピード馬と思わせましたが、夏以降は4連勝して本格化して最終的にはイギリスのジュライカップ(GⅠ)を勝利しました。器用な感じには映りませんでしたが、デカくて早い馬という感じでしたね。
現在サイアーラインとして残るダンジグの系統
ダンジグは様々なGⅠホースを送り出していますが、牡馬でGⅠを勝ちまくったのはチーフズクラウンのみとなります。
現在主流となっているダンジグ系種牡馬は実はあまり現役時代競走馬として特別な活躍した馬ではありません。
Chief’s Crown(チーフズクラウン)
母の父:Secretariat(Bold Ruler系)
1982年産。
活躍馬のところで紹介していますが、エルハーブだけでなくチーフベアハートを送り出すなどアメリカで発展しています。
ただ、最近は直系での活躍はあまり見られず他の種牡馬同様、母系でその名を見るほうが多い系統ですね。
日本の馬ではアグネスデジタルやディープスカイの母の父になっていますが、ダンジグ系の馬にしてはやや中距離寄りですね。
もっさりしているというか、パワー寄りで仕上がりの早い馬が多いう印象が強いですね。底力もそれほど感じません。
チーフベアハート系の主な種牡馬
- Sinndar(シンダー)・・・チーフズクラウンの孫にあたります。現役時代はヨーロッパで走り凱旋門賞、英・愛ダービーを制すなど主要GⅠを三勝の名馬です。アイルランド産の馬ですが産駒は主にフランスなどで結果を残していますが、残念ながら牝馬に活躍馬が多いです。2018年死亡。直系はフランスで種牡馬をしているYoumzain(ユームザイン)頼みです。
Green Desert(グリーンデザート)
母の父:Sir Ivor
1983年産。ダンジグ系の中では現在デインヒルに続く勢力となります。
英2000ギニーは1980年代最強馬とも言われたダンシングブレーヴの二着にやぶれましたが、GⅠレースはジュライカップなど二勝しておりダンジグの子らしいスプリンターでした。
種牡馬入り後はヨーロッパの短距離レース中心に活躍する馬を送り出し、現在は後継のCape Cross(ケープクロス)がヨーロッパで存在感を放ちます。ただ直系で残るのはこの系統ぐらいで、徐々に血は牝系にシフトしていますね。
ケープクロス産駒の現在の代表格といえばGalileo(ガリレオ)の半弟でもあるSea the Stars(シーザスターズ)ですが、ヨーロッパの大きいなレースで抜群の強さを発揮するものの、いかにもヨーロッパ的の中長距離的な種牡馬で、日本で走る産駒はどうしても重たさを感じる産駒が多くなっています。
代を経て大分印象が変わりつつありますが、個人的には日本の馬場には合っていない感じがします。
グリーンデザート系の主な種牡馬
- Cape Cross(ケープクロス)・・・現役時代はGⅠ1勝(ロッキンジS:芝8F・英)ながら、シーザスターズ、ゴールデンホーンなど二頭の凱旋門賞馬の他、二度のヨーロッパ年度代表馬(カルティエ賞)に輝いたウィジャボードを送り出した超一流種牡馬で、グリーンデザート系の発展に貢献しました。2017年死亡。
- Invincible Spirit(インヴィンシブル スピリット)・・・グリーンデザートの直仔で本来のこの系統らしい短距離馬でした。ウォッカとの子供は日本では結果を残せませんでしたが、一流のスピードを数多く送り出しているヨーロッパのスピード種牡馬です。後継ににはLawman(ロウマン)やKingman(キングマン)などがおり血を拡げつつあります。
- Sea the Stars(シーザスターズ)・・・あのガリレオの半弟で前述のケープクロス産駒ですが、現役時代は偉大なる兄を超える競走成績でした。牝馬を中心に活躍馬を送り出していますが、ヨーロッパの中でもイギリスやアイルランドなどのタフな馬場が合うという印象です。完全に中長距離タイプでヨーロッパのトップ種牡馬の一頭ですが、大物に牝馬が多く、早く後継種牡馬の確立が待たれます。
- Golden Horn(ゴールデンホーン)・・・ケープクロス産駒で凱旋門賞などGⅠ四勝の名馬です。産駒はまだデビューしたばかりでこれからの種牡馬ですが、シーザスターズ並みの実績と母の父がキングマンボ系で軽さもあるのかBCターフ二着にも入ったことがあり、ヨーロッパ以外でも活躍馬を送り出しそうです。
Danehill(デインヒル)
母の父:His Majesty(Ribot系)
1986年アメリカ産で、現在ダンジグ系の中でも現在一番発展しているのがこのデインヒルの系統ですね。
現役時代はヨーロッパで走り英2000ギニーは名馬Nashwan(ナシュワン)の3着、愛2000ギニーは前述のシャーディの4着に敗れGⅠはスプリントカップを勝っただけの単なる有力馬の一頭ですが、種牡馬入りして大ブレイクしました。
イギリスでリーディングサイアーに3度輝いただけでなく、オーストラリアでは9度のリーディングサイアーに輝いており、シャトル種牡馬の走りとしても有名ですね。
日本でも一年間だけ強要されており、この滞在した時に種付けされた産駒はなんと全体で3位(生産年での集計)の成績を残しています。
他のダンジグ系種牡馬が自身と同じように短距離、特にスプリント戦を得意にしてマイル以上になると勝ちきれない馬を送り出していたのに対し、デインヒルはクラシックディスタンスを苦にしない馬を送り出し、それが大成功につながったと言えます。
直系ではオーストリアやフランスでDansili(ダンシリ)の系統が伸びてはいますが、母系に入って存在感を見せつけるなど世界中にその血が広まっています。
スプリンターから中長距離馬まで送り出す万能種牡馬であり、様々な系統と相性がいいのも特徴ですね。
日本の高速馬場に対応できるスピードは魅力です。
デインヒル系の主な種牡馬
- Danehill Dancer(デインヒルダンサー)・・・1993年産のデインヒル三世代目の産駒。種牡馬としては当初期待されなかったものの、一流馬を多く輩出した名種牡馬です。2017年死亡。
- Dansili(ダンシリ)・・・1996年産。デインヒル直仔でフランスを中心に産駒が大活躍した一流種牡馬です。凱旋門賞馬Rail Link(レイルリンク)やハービンジャーを送り出していますね。この馬自体はマイラーでしたが産駒は距離を気にせず中距離を中心に活躍しています。日本では産駒のハービンジャーを通して血が拡がっています。実はイギリスで種牡馬入りしていますがやはりフランスの馬場との相性がいいようです。
- Redoute’s Choice(リダウツチョイス)・・・1996年産ですがこの馬はデインヒルのオーストラリアでの生産馬であり現地で走りました。オーストラリアでの種牡馬入り後はリーディングに三度輝くなど大活躍しました。産駒のスニッツェルが種牡馬としても成功しています。2019年死亡。
- ロックオブジブラルタル(Rock of Gibraltar)・・・1999年産のデインヒル産駒。ヨーロッパでGⅠを七勝あげておりヨーロッパでは代表産駒とも言えます。日本では2007年にシャトル種牡馬として供用されるなど、世界中で種牡馬生活を送りました。そのため母の父にこの馬の血を持つ牝馬が日本にもいくらかいますが、高速馬場に対応するなど優れたスピード能力を伝えています。イメージとしてはやはりヨーロッパ型の短距離タイプという形でマックススピードというよりも持続力型ですね。マンチェスターユナイテッドのアレックス・ファーガソンが馬主の一人だったことでも知られます。
- Fastnet Rock(ファストネットロック)・・・2001年産。オーストラリアのGⅠを二勝した一流馬ですが、種牡馬としてもオーストラリアで二度のリーディングに輝いています。自身はスプリンターですが距離に融通のきく産駒が多い点やオーストラリアだけでなくヨーロッパでも大物を出すなど万能性は父デインヒルを感じさせます。
- Dylan Thomas(ディラントーマス)・・・父デインヒルが亡くなった2003年生まれの産駒で唯一の凱旋門賞馬です。GⅠを五勝しておりロックオブジブラルタルとならぶデインヒルの代表産駒の一頭ですね。今のところまだ超がつく大物が出ていません。
- スニッツェル(Snitzel)・・・前述のリダウツチョイス産駒で2017と2018年のオーストラリアのリーディングサイヤーです。祖父デインヒル、父リダウツチョイスもリーディングサイヤーに輝いており、オーストラリアでの本流とも言える種牡馬となります。2007年と2011年に日本にシャトル種牡馬として来ています。2002年産。
- ハービンジャー(Harbinger)・・・ダンシリ産駒でデインヒルの孫、ダンジグからは曾孫にあたります。日本で種牡馬入りしましたが、現役時代はヨーロッパでも中長距離のトップホースでした。産駒はGⅠホースを何頭か送り出しましたが、イマイチ当たりはずれがある点が課題ですね。2006年産。
War Front(ウォーフロント)
母の父:Kris.S(Roberto系)
2002年アメリカ産でダンジグ晩年の傑作と呼ばれます。
現役時代は短距離路線を中心に走り、GⅡは勝った程度でしたが、種牡馬入りしてからは父ダンジグ同様ブレイクし、直系ではアメリカで踏ん張る唯一の系統となります。
2019年ついにWar of Will(ウォーオブウィル)がプリークネスステークスを制しますが、他の系統にくらべて距離が持つタイプではないのでどちらかと言えば大物が少ないタイプですね。
やはり芝が得意な短距離馬が多いようです。
2008年産でマリブSなどGⅠ二勝のThe Factor(ザファクター)が種牡馬として活躍しそうな気配があります。
ウォーフロント系の主な種牡馬
- The Factor(ザファクター)・・・ウォーフロントの初年度産駒で、現役時代は7FのGⅠを二勝し、サンタアニタ競馬場のダート6Fのトラックレコードを持つスピード馬です。2019年は77頭が勝ち上がり(1位タイ)高い勝ち馬率が魅力です。
- デクラレーションオブウォー・・・アメリカ産ながらヨーロッパで走った馬で英チャンピオンスSなどGⅠを二勝しています。2015年~2018年までアメリカで種付けを行なったあと、2019年から日本で供用されています。すでにフランス2000ギニー馬Olmedo(オルメド)を出している期待の種牡馬です。
Hard Spun(ハードスパン)
母の父:Turkoman(Alydar系)
2004年アメリカ産。
GⅠの勝利はキングビショップS(GⅠ、ダート7F)のみとなりますが、ケンタッキーダービーとブリーダーズカップクラシックで二着に入るなどかなり強かった馬です。13戦して7勝しており一度も大崩れしませんでした。
日本で一年だけ供用されたことがあり、種牡馬ランキングも20位程度をうろうろしている種牡馬でしたが2019年はついにトップ10入りしてブレイクの気配があります。
ダンジグ系種牡馬の特徴
勝ちまくるタイプではない
以上がダンジグの系統についてまとめになりますが、代表産駒などを見ていくと分かるようにGⅠを勝ちまくる馬は時おりだすものの、どちらと言えば少数派で、ここ一番で勝つ馬が多いですね。
また牝馬などの活躍馬が多いようにこういったタイプは身体能力を活かしたレースが得意で、やはり武器は高いスピード性能にあるとみて間違いないでしょう。
直系には限りますが、中団から鋭く伸びるというよりも先行して粘りこむタイプなのでどちらかと言えば勝ちきれないタイプが多いのが特徴ですね。
スーパーホースを生み出すというよりも二番手、三番手のようなわき役タイプを多く送り出している印象です。
仕上がりは早い
産駒に共通しているのは仕上がりの早さであり2歳戦から活躍している馬が多いのも特徴と言えますね。
ただダンジグらしさは健在でいったん調子が落とすと立て直しが難しい馬が多いですね。これは母系に入っても同じことが言えます。
距離はもつタイプがいるが短いほうが信頼できる
また産駒はかつてのイメージほどスプリント戦にのみ強いということもなく一流馬であれば2000mぐらいは対応できるようです。
デインヒル系統が世界中で活躍しているように馬場を問わない万能ぶりは特筆すべき点でありストロングポイントと言えますね。
例外としてデインヒル系のダンシリは中長距離タイプになります。
母系に入り高いスピード性能と汎用性を与える
日本で最近のダンジグ系を活躍見ているとサトノダイヤモンドやジェンティルドンナの母系に入って超一流馬も送り出しており、かつての単なる早熟なスピード馬という印象は捨てたほうがいいのかもしれません。
母の母の父にヨーロッパ型のスタミナ種牡馬がいると距離をこなす馬もいるので、単純に判断しないほうがいいですね。
また、現在日本の一流馬の中にはダンジグの血が入っているものが多くスピード競馬に対応するためにも重要な血の一つであることは間違いありません。最近の超高速馬場に対応できる数少ない血の一つですね。
デインヒル系は日本の高速馬場に対応
あくまで母系に入るという前提にはなりますが、デインヒルの系統が唯一日本の馬場に対応しているように感じます。
グリーンデザートの系統は若干重たい印象もありますし、ウォーフロントだと少し淡白な感じがしますね。
ただ究極の時計勝負には若干対応しきれていない感じもして、時計がかかるような少しタフ目な馬場のほうが相性はいいようです。
中山競馬場は得意?
個人的なイメージなんですが、母系にダンジグの血が入っていると中山競馬場を得意としている馬が多い印象があるのですが、このあたりは今後も検証していきたいと思います。