A.P.Indy(エーピーインディ)系種牡馬の現状

投稿者: | 2018年2月16日

サラブレッドの血統の歴史と言えば常に淘汰の繰り返しと言われています。

100年前にヨーロッパを中心にその血を爆発的に広めたセントサイモン(St. Simon)も、直系はわずかに残るみで、現在ではほぼ母系にでのみその血が残ります。

いわゆる”セントサイモンの悲劇”といわれる血が広まり過ぎた影響による没落は特に有名な話ですが、近年に限ってもサラブレッドのトレンドは常に変わり続けており、ボールドルーラー(Bold Ruler)からミスタープロスペクター(Mr Prospector)、ノーザンダンサー(Northern Dancer)など時代を支配した馬も数年経てばあっという間に表舞台から引きずり降ろされるなど、そのサイクルはあっという間です。

現在の世界の主流血統と言えば、日本でガラパゴス的に発展しているサンデーサイレンス系を除くと、ヨーロッパではガリレオを軸としたサドラーズウェルズ(ノーザンダンサー)の系統、アメリカではミスタープロスペクターなどの系統に勢いを感じます。

そしてアメリカでも少数派にはなってきているものの、絶滅することなく太く残っている系統がボールドルーラーを始祖とするA.P.Indy(エーピーインディ)の系統です。

エーピーインディもサンデーサイレンスと同じくローカルで残っている種牡馬にはなりますが、かつてアメリカ競馬を支配したボールドルーラーの血を引くこの系統が現在アメリカでどのような形で残っているのか調べてみたいと思います。

スポンサーリンク


A.P.Indy(エーピーインディ)の血統

1989年 アメリカ産

Seattle Slew
1974 黒鹿毛
父の父

Bold Reasoning
1968 黒鹿毛

Boldnesian Bold Ruler
Alanesian
Reason to Earn Hail to Reason
Sailing House
父の母

My Charmer
1969 鹿毛

Poker Round Table
Glamour
Fair Charmer Jet Action
Myrtle Charm

Weekend Surprise
1980 鹿毛

母の父

Secretariat
1970 栗毛

Bold Ruler Nasrullah
Miss Disco
Somethingroyal Princequillo
Imperatrice
母の母

Lassie Dear
1974 鹿毛

Buckpasser Tom Fool
Busanda
Gay Missile Sir Gaylord
Missy Baba

父は1977年のアメリカ三冠馬Seattle Slew(シアトルスルー)、母の父は1973年のアメリカの三冠馬であるSecretariat(セクレタリアト)という父と母系の両方に三冠馬をもつというものすごい配合となります。

いずれもボールドルーラーの血を引きますがボールドルーラーは1963年~1969年、1973年と八度のアメリカのリーディングサイアーに輝いた一時代を築いた種牡馬です。八十年代から九十年代にかけてこの系統の種牡馬が日本にも輸入されましたが、一時的に活躍馬を出したもののダートを中心として活躍する馬や単調なスピード馬が多く直系は発展しませんでした。

エーピーインディの兄には三冠レースの一つプリークネスステークスの勝ち馬Summer Squall(サマースコール)がおり、近親に活躍馬が多数存在する超一流血統となります。

母系のBuckpasser(バックパサー)やSir Gayload(サーゲイロード)の血を引く馬からは多くの一流馬が出ており、エーピーインディは中距離型の非常に底力に優れた配合です。

競走成績

二歳時よりアメリカで走り、二歳の時はGⅠ勝ちを含む4戦3勝。

三歳になるとケンタッキーダービーの前哨戦の一つサンタアニタダービーを勝利したものの、軽いけがのためこれを回避したものの、三冠レース最後の一つベルモントステークスを勝利しています。その後二つのレースで敗れましたが、最後の大一番ブリーダーズカップクラシックをしっかりと勝利し、この年の北米年度代表馬(エクリプス賞年度代表馬)に輝いています。

通算11戦8勝で3着が一回、残り二戦は4着と5着です。

主な勝鞍

二歳時・・・(GⅠ)ハリウッドヒューチュリティ

三歳時・・・(GⅠ)BCクラシック、ベルモントステークス、サンタアニタダービー、(GⅡ)ピーターパンステークス、サンラファエルステークス

スポンサーリンク


 

代表産駒や後継種牡馬

Pulpit(プルピット)

母の父:Mr Prospector 生年:1994年-2012年

1994年産でファーストクロップにあたります。何と言っても近年のアメリカの種牡馬の中で王様として君臨するTapit(タピット)の父として有名ですが、現役時代は凡庸ではなかったものの6戦4勝の成績で引退しました。

ダートで活躍するGⅠホースを多く送り出しましたが、日本で知られているようなメジャーなレースを勝った馬はおらず、直接超大物とよべる競走馬をだしているわけではありません。

2017年の皐月賞を勝利したアルアインの母の父はプルピット直仔のEssence of Dubai(エッセンスオブドバイ)となります。UAEダービー(GⅡ)など13戦5勝の準一流馬みたいですね。

プルピット系は現在はタピットが種牡馬として大成功しており、エーピーインディ―系の中では最大派閥となります。

ただ、やっぱりタピットの子供もGⅠを勝ちまくるタイプではないですね。

日本だと直系は苦戦しているものの、母の父に入って最近存在感を放ち始めました。

Malibu Moon(マリブムーン)

母の父:Mr Prospector 生年:1997年-

通算2戦1勝。現役時代は活躍できませんでしたが近親に活躍馬が多い良血馬となります。

代表産駒にケンタッキーダービー馬のOrb(オーブ:2010年産)がいますが、他の産駒は牝馬に活躍馬が多く若干大物感に欠けます。

2018年の種牡馬ランキングは11位、2017年は8位、2016年は13位、2015年は10位など安定した成績を残している種牡馬です。

Flatter(フラッター)

母の父:Honour and Glory(In Reality系)

1999年産。現役時代は6戦4勝で早期に引退。

2018年の種牡馬ランキングは10位、2017年は21位、2016年は17位。

2017年のエクリプス賞3歳チャンピオンのWest Coast(ウエストコースト:トラヴァーズS、ペガサスワールドカップ2着)を送り出し、この馬が今後のこのサイアーラインの鍵を握りそうです。2018年古馬になってウエストコーストは未勝利でしたが、ペガサスワールドカップとドバイワールドカップという高額賞金レースで二着に来ており、2018年のランキングが高かったのはこの馬のせいです。

Mine Shaft(マインシャフト)

母の父:Mr Prospector 生年:1999年-

通算18戦10勝で2003年のエクリプス賞年度代表馬になります。競走成績だけで見ればBernardini(バーナーディニ)とならんでエーピーインディの代表格ですね。

日本ではカジノドライブ(フェブラリーステークスでサクセスブロッケンの2着)の父として有名ですが、産駒に超大物がいるわけではありません。

2017年、2016年の種牡馬ランキングは27位と23位であり、種付け料も25000ドルと他の馬に比べて安いですね。

Bernardini(バーナーディニ)

母の父:Quiet American(Fappiano系) 生年:2003年-

2003年産。エーピーインディ産駒の牡馬としては最も活躍した馬になります。主な戦績ははプリークネスS、トラヴァーズS、ジョッキークラブ金杯(いずれもGⅠ)、BCクラシック2着など8戦6勝で2006年の3歳牡馬チャンピオン。

Stay Thirsty(トラヴァーズS、シガーマイルH)、To Honor and Serve(シガーマイルH、ウッドワードS)、Alpha(トラヴァーズS、ウッドワードS)などの産駒がいますが超一流馬が出ていません。

2017年の種牡馬ランキングは29位に終わったものの、2016年は9位。

Majestic Warrior(マジェスティックウォリアー)

母の父:Seeking the Gold 生年:2005年

2歳時にホープフルステークス(GⅠ、ダート1400m)を勝利していますが、3歳時には三冠レースの前哨戦を凡走するなど見どころはなく7戦2勝。

代表産駒にはケンタッキーオークスなどGⅠを4勝したPrincess of sylmar(プリンセスオブシルマー:2010年)や日本で重賞戦線で活躍しているベストウォーリア(2010年産)などがいますが、それ以外に目立った産駒がいません。

2017年の種牡馬ランキングは26位、2016年は36位。2015年に日本に輸入されています。

シンボリインディ

母の父:Danzig 生年:1996年-2001年

日本でGⅠを勝ったA.P.Indy産駒はこのシンボリインディのみとなりますが、他にもヒシナイル、サヤカ、アラタマインディがいるものの、いずれも3歳の夏以降は不振に陥っており、仕上がりの早い早熟タイプという傾向が見えます。

シンボリインディは古馬になり京王杯オータムハンデで復活の勝利をあげましたが、最後はレース前の事故で残念ながら予後不良となっています。

エーピーインディ系の現状と産駒の特徴

アメリカでは安定して活躍

現在もタピットやマリブムーン、フラッターなどがアメリカで種牡馬として安定した成績を残しているので安泰ですね。

ただ活躍はどうしても北米に限られており、日本やヨーロッパでは相性がいいとは言えません。

 

大舞台では存在感を見せるものの勝ちきれない

これはディープインパクトに少し似ているのですが、三歳までは比較的大きなGⅠをよく勝っているものの、一流馬は古馬になるとなぜか踏ん張り切れないレースが多いようですね。

タピットは特にベルモントステークスなどで結果を残しているんですが、GⅠを勝ちまくって歴史に名を残すというよりも、ウエストコーストのように大崩れなく走って賞金を稼いでいる馬が多いですね。

90年代に日本で活躍したタイキブリザード(父シアトルスルー)も結局安田記念は勝ちましたが、善戦マンとしてのイメージが強くこの系統らしいなという感じですね。

どうしても気性的に前向きな産駒が多くタメが効かないため、日本では本質的には中距離向きですが活躍はマイルが中心となり、トライアルや下級条件向きの種牡馬となります。

スポンサーリンク


 

Pocket
LINEで送る

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)