アーモンドアイの一強体制は揺るがない
今週(2018年10月14日)に京都競馬場で開催される秋華賞(GⅠ、芝2000m)に関する記事となります。
秋華賞と言えばご存知のように三歳牝馬限定のレースですが、今年は何と言っても桜花賞とオークスを抜群のパフォーマンスで制したアーモンドアイ(父ロードカナロア)に注目が集まります。
主戦を務めるトップジョッキーのルメール騎手をして桜花賞の時点で”三冠を狙える”と言っていたほどの逸材であり、オークスはこれまでの追い込み先方から一転して、決して遅くないペースの中を先行して勝ちきるというとんでもない内容でした。勝ちタイムの2分23秒3というのもこの時期の馬としては驚異的なモノです。
いきなり結論から言ってしまうと、本命をこの馬以外にすることは現実的ではありません。
オークス以来五か月ぶりの実戦という点のみ不安ということはありますが、現役最強馬の声さえ聞こえてくる逸材なだけに、今回はこの馬に迫れる馬はどの馬かを中心にして予想していきたいと思います。
レース傾向
上位人気馬がしっかりと勝つレース
10年前三連単で1000万円馬券が出たのはこのレースでしたが、傾向としては荒れにくいようです。
ここ十年に限定すると九頭が三番人気以上、その前の勝ち馬を見ても五年連続で二番人気の馬が勝つなど勝ち馬に関しては思いがけない馬が来ることはほぼないと言えます。
上位人気馬の過去10年間の成績
1番人気:[3.1.2.3]
2番人気:[2.2.1.4]
3番人気:[4.1.0.4]
1〜3番人気の合計[9.4.3.11]
ディープインパクト産駒の圧倒的活躍
血統傾向を調べるとサンデーサイレンス系やノーザンダンサー系などで分類しているサイトが多いのですが、このレースに関してはディープインパクト産駒の活躍が極端に目立ちます。
一世代目となる2011年こそ桜花賞馬マルセリーナの7着(三番人気)が最高でしたが、以下のように大活躍しています。
上位に来ている顔ぶれから傾向を探ると、上位にくるのはあくまで上位人気馬、前走結果を残している、かつしっかりとした実績がある。このあたりがポイントのような気がします。
ファンディーナなどは前走ローズステークス6着(一番人気)、逆にタッチアンドルビーはローズステークスを勝っているものの七番人気とそれまであまり評価されていない馬でした。勝った時の強いイメージを引きずっていたり、ポッと出も少し危ないというのは血統的なイメージ通りですね。
ディープインパクト産駒の秋華賞における成績
2011年 二頭出走 最高着順7着(マルセリーナ:三番人気)
2012年 四頭出走 ジェンティルドンナ(一番人気)、ヴィルシーナ(二番人気)でワンツー
2013年 四頭出走 スマートレイアー2着(二番人気)、デニムアンドルビー4着(一番人気)
2014年 二頭出走 ショウナンパンドラ1着(三番人気)
2015年 五頭出走 ミッキークイーン1着(一番人気)、二番人気タッチングスピーチは6着
2016年 四頭出走 ヴィヴロス1着(三番人気)、一番人気ビッシュは10着
2017年 三頭出走 最高着順5着(カワキタエンカ:八番人気)、二番人気ファンディーナは13着
登録馬・出走予定馬寸評と血統評価
まずはディープインパクト産駒から見ていきたいと思います。
カンタービレ
父:ディープインパクト 母の父:Galileo(Sadler’s Wells系)
ローズステークスの勝ち馬ですが、気になるのはオークスの13着(七番人気)と前走が芝の状態がよく先行馬有利だったという点です。実際五番人気という評価でしたし、逆に一番人気で決め手のあるサトノワルキューレ(秋華賞は疲労のため回避)には向かない展開でした。前走を評価しすぎるのは禁物でしょう。
血統上は底力十分ですが、やはり切れ味鋭いという感じはないですね。
スローペースで前目につけるか内枠でうまくインをつくのがベストな展開でしょうが、スローペースからの一気にペースアップしての消耗戦、ハイペースで後ろか行って決め手勝負どちらも、あまりピンとこないので三着までなんでしょうか。
武豊ジョッキーなので、内枠に入った時のイン差しだけ不気味ですね。
サラキア
父:ディープインパクト 母の父:Lomitas(Nijinsky系)
ディープインパクト産駒で次に人気しそうなのがサラキアですが、二着に敗れたローズステークスは二番人気でした。
後方待機にはなりそうですが、これまでのレースぶりを見ると詰め切れないレースぶりが気になりますが、ディープ産駒の善戦タイプはただの力不足で相手が強くなると跳ね返される傾向にあります。極端に外に入るようだと思い切って消したほうがいいかもしれませんね。
血統上は母系がパワー型で爆発的な切れ味に欠けるのも納得です。
ミッキーチャーム
父:ディープインパクト 母の父:Dansili(Danehill系)
現在三連勝中の上り馬ですが、事前の想定人気では五番人気となっています。問題は一線級との対戦がないことなんですが、前走は前半58秒台で逃げてしっかり残っているので能力はありそうです。
となると気になるのは血統なんですが、母系はDanehill(デインヒル)系でも実績のあるDanesili(ダンシリ)を始めとしたヨーロッパ血統ですね。デインヒルの系統なのでスピードは内在しているのですが、ディープ産駒の一流馬の特徴である素軽い感じではなさそうです。ここまで三頭ともそれは共通していますね。
馬券的にはとりあえず底が見えてないので押さえておこうかなとは思いますが、騎手がコロコロ変わっていることや血統上はあまり買いたくない馬です。
プリモシーン
父:ディープインパクト 母の父:Fastnet Rock(Danehill系)
四頭目のディープインパクト産駒はプリモシーンですが、桜花賞(10着)以降は他の馬と別路線を進みNHKマイル5着(五番人気)、関屋記念1着(一番人気)と牡馬や古馬相手にしっかりと結果を残しています。
ただやっぱり問題は戦った相手なんですよね。関屋記念は古馬の中でも二線級でしたし、NHKマイルの上位馬が秋になってどういった走りをするか注目していたところ、勝ったケイアイノーテックは毎日王冠を五着(四番人気)、二着だったギベオンはセントライト記念を13着(二番人気)と、かなり微妙な結果です。
血統は母系がかなりスピード型でここまでの馬の中では一番好印象です。
母モシーンはオーストラリアのGⅠを4勝で、母の父Fastnet Rock(ファストネットロック)はオーストラリアでリーディングサイアーにも輝いたことがあります。また母の母の父にNureyev(ヌレイエフ)がいるのでスピード競馬に対応が可能です。ミッキーチャームのダンシリとかよりは軽さはあると思います。
ただデインヒル系が近くにいるとStorm Cat系ほどスパーンと切れ味が出るわけではないので、決め手勝負だと突き抜けるまでは難しい感じがしますね。F
総合的には一瞬抜け出しかけて止まるといった予想になりますね。
オールフォーラブ
父:ディープインパクト 母の父:キングカメハメハ
オークス9着(五番人気)のあと休み明けのローズステークスも9着(三番人気)と敗れてしまいました。特にローズステークスは勝ったカンタービレのすぐ後ろにいた中での敗戦なだけに致命的な感じがします。
母系はさかのぼるとカロやサーゲイロードなどの血が目につきますが、こういったタイプはたまに鋭い決め手を見せるものの、どちらかというと時計よりも印象ほど切れ味がタイプなので血統上スローは向いていないような気がします。
ディープインパクト産駒で近走不振、爆発的な切れ味がないとなると買える要素がないですね。
トーセンブレス
父:ディープインパクト 母の父:ファルブラヴ
桜花賞ではアーモンドアイに次ぐ上りタイムを記録しての4着(八番人気)ということでオークスは期待されましたが、ローズステークスはまさかのしんがり負け(七番人気)でした。ローズステークスはこれまでの追い込み戦法から一転しての先行策でしたが、やっぱり後ろから行ったほうがいいみたいです。
個人的にこの馬は戦績のわりに不気味な感じがするのですが、新馬戦ではプリモシーンを下していたり、阪神ジュベナイルフィリーズやフラワーカップでは最速の上りを見せているんですね。
ま、それでも一勝馬なんで取るに取らない存在ではありますが、ディープインパクト産駒の中は一番計算できないのがこの馬なんで、穴をあけるとしたらこういう馬かなという気もします。
血統を見ると独特で母系は三代続けてノーザンダンサー系が配合されています。特に母の父ファルブラヴは血統や実績的には中長距離型であるもののスプリント戦を得意としていますが、こういった血統上は中距離馬、子供はスプリント戦が得意な馬にはリファール系、アドマイヤムーンなどがおり、こういったタイプは極端な戦法や距離のほうがいいケースが多いですね。
個人的には直線まで死んだふりして回ってくるとどういったレースをするか気になる一頭ではあります。ま、大敗もあり得ますが・・・。
ラテュロス
父:ディープインパクト 母の父:Touch Gold(Deputy Minister系)
これまで勝ちきれないレースが続きましたが、ローズステークスは3着(十三番人気)でした。
母系からは少しもまれ弱くレースぶりが下手そうな感じはするのですが、前走はたまたま流れに乗れただけという判断で消しです。系統上ディープインパクトとの相性は悪くなさそうなんですが、レースぶりからは当たりという感じはしないですね。
血統票をパッと見る限り、少しづつ余計な血が入っており、超一流馬の配合ではないですね。
サトノガーネット
父:ディープインパクト 母の父:Victory Note(Fairy King系)
どうやら抽選を抜けてきたようですが、今年の四月にデビューした二勝馬です。それだけにまだまだ評価の難しい馬ですね。
血統だけがたよりですが、近親に活躍馬は現在のところ見られません。母の父は大種牡馬サドラーズウェルズの全弟フェアリーキングの系統で若干お兄さんよりスピードのある産駒が多いのですが、基本はやっぱりスタミナ寄りですね。爆発的な決め手がありそうな配合には見えません。
未知の要素で押さえておいてもかまわないのですが、手は伸びにくいですね。
続いてその他の馬を見ていきます。
アーモンドアイ
父:ロードカナロア 母の父:サンデーサイレンス
ブエナビスタなどの例もあるので、絶対この馬しかないというわけでもないんですが、オークスで上位に来た馬たちが軒並み出走しないので他にめぼしい馬が見つかりませんね。リリーノーブルやマウレア、サトノワルキューレあたりがいれば、万が一アーモンドアイが出遅れでもしてくれれば面白かったんですが、そう考えると今回はかなり手薄なメンバーに感じますね。
血統的に父ロードカナロアが名スプリンターだったので春先は距離面の限界がささやかれましたが、オークスの強烈な勝ち方で今はそういう声はまったくなくなりました。母フサイチパンドラもエリザベス女王杯を勝っていますし、京都の2000mならまったく問題はないでしょう。
母の母の父がNureyevでさらに三代母の父はBuckpasserでバランス面では完璧とも言える配合に感じますし、祖父のキングカメハメハを彷彿とさせる走りで無事に回ってくれば三冠はほぼ間違いないような気がします。
後怖いとすれば、前に行った馬を捕まえ切れないというケースのみですが、春は評価の高かったラッキーライラックが夏を超えてどこまで成長しているかが鍵でしょうね。
ラッキーライラック
父:オルフェーヴル 母の父:Flower Alley(フォーティーナイナー系)
桜花賞まではこの馬の一強ムードだっただけに、二番人気が予想されるとは言え、少し人気しなさすぎという感じはしますね。
またアーモンドアイより前に行けるのは魅力的ではあります。
こういった戦績の馬で心配されるのは早熟というパターンですが、祖父ステイゴールドや父オルフェーヴルが古馬になって活躍したとは言っても、この系統は二歳戦から出てくる馬もいるので何とも言えないところですね。
母系は三代母がアメリカでエイコーンステークスなどGⅠ4勝のステラマドリッドで近親にはアエロリットやダイヤモンドビコーがおり、底力は十分。母の父Flower Alleyの弟はスピルバーグ(天皇賞・秋)、トーセンラー(マイルチャンピオンシップ)などがおり、やはり潜在的なスピードは相当高そうです。また、こうして見ると三歳の秋以降に活躍している馬が多いですね。
個人的にはアーモンドアイがいなければこの馬が一強のような形でもあるので、春先の評価をもっと重視してもいいのかもしれません。
ゴージャスランチ
父:マンハッタンカフェ 母の父:Seeking the Gold
前走ローズステークスの4着に入るなど、大崩れしない成績はマンハッタンカフェ産駒の上級馬ぽい成績なので面白い感じはしますね。ただ前走ローズステークスは勝ったカンタービレが同じような位置にいてのこの結果なだけに、相手が強くなったこのレースで買える要素があるかというとかなり厳しいですね。
ただ、僕が切りにくいなぁと思って切ったマンハッタンカフェ産駒は波乱を巻き起こすことが多いので押さえておきたい気分もないわけではありません。
母系はヨーロッパの重厚な血統にスピード豊富なSeeking the Goldが配されており、イマイチこれと言った特徴のないマンハッタンカフェ産駒には面白い血だなとも感じます。
ハーレムライン
父:マンハッタンカフェ 母の父:グルームダンサー(ナスルーラ系)
桜花賞時点では三勝馬であり大崩れがなかったのですが14着と跳ね返されています。前走紫苑ステークスは展開の利がありながら五着と、逆に限界を示したような気がしなくもありません。
母系を見ると伯父にトウカイポイント(マイルチャンピオンシップ)がいるものの全体的に地味ではあります。グルームダンサーも日本では結果をの残している種牡馬とは言えず、ノーザンテースト~エウセンタウロと続く流れは少し古い感じもしますね。
こういう血統は内枠に入ってこそだと思いますね。
スカーレットカラー
父:ヴィクトワールピサ 母の父:ウォーエンブレム
チューリップ賞、桜花賞は完敗。前走ローズステークスも見せ場がなく買える要素がありません。
血統的には若干時計もかかったほうがいいようなタイプなので、雨でも降らないと少し厳しいような気がします。また前に行けないので勝負所で置いて行かれるような気がしますね。
消しです。
ランドネ
父:Blame 母の父:A.P.Indy
紫苑ステークスの三着馬ですね。このレースは勝ったノームコアがかなり中身のある勝ち方だったので注目していたのですが、ランドネはスローで逃げての三着ということで、相手が強化されるとなるとこれ以上の上積みは疑問です。
血統は父がRoberto系のBlame(ブレイム)なんですが、この系統は自分の得意な条件や弱い馬にはしっかり勝つタイプなので、成績は掲示板への出し入れが多いタイプですね。母系はA.P>IndyからFapiiano系の種牡馬(Quiet American)にNureyevなんかがつけられているので素性はいいのですが、全体的な血統イメージからすると、すでに能力の底を見せている現状では買えませんね。
秋華賞を走った後相手弱くなるとあっさり勝つようなタイプだと思います。買うなら次走ですね。
パイオニアバイオ
父:ルーラーシップ 母の父:ゼンノロブロイ
新馬戦・未勝利戦を抜け出すのに七戦を要し、フローラステークスは2着(13番人気)に入ったものの、オークは7着で紫苑ステークスは4着と常に詰め切れないレースを続けているんですが、かなり不気味です。
個人的には三着までかなとは思うんですが、根拠としては血統でまず父ルーラーシップは詰め切れないレースが続くものの秋以降はしっかりと力をつけていること。そして注目はこの馬のお母さんの成績で、パイオニアバイオと同じように詰め切れないレースが続きながら秋華賞では二着(六番人気)に突っ込んできました。
騎手もベテラン柴田善臣ジョッキーで思い切ったレースが可能なので、面白い一頭だと思います。
この馬の叔父にはレインボーライン(天皇賞・春)もいるので勝ち負けできるだけの血統的背景は十分です。
オスカールビー
父:ハーツクライ 母の父:ジェイドロバリー
二勝馬で抽選を抜けてきましたが、好意的に見ても買える要素が父ハーツクライということぐらいですね。
ただ成長力のあるハーツクライと言っても一流になる馬は本格化する前でもある程度形のある負け方をするので、厳しいような気はします。
また母系はミスターシービーにエルセンタウロといった僕が競馬を始めたころの種牡馬がならぶ古い血統でスピード不足が致命的です。
消します。
ダンサール
父:ハーツクライ 母の父:Not For Sale
同じハーツクライ産駒ならこちらのほうが買えますね。一応生産もノーザンファームです。
また、デムーロジョッキーが続けて乗ってくれるのは魅力です。
母系はアルゼンチンの血統のようでまったく分かりません(笑)が、カロやダマスカスの名前なんかが出てくるので切れ味鋭いってタイプではないですね。
あくまで魅力は未知の部分とデムーロということのみです。
サヤカチャン
父:リーチザクラウン 母の父:アンバーシャダイ
近走、血統面両方で買える要素がありません。消しです。
秋華賞2018の予想
どうもディープインパクト産駒は全体的にパッとしませんね。最終予想は枠順確定後に行います。
◎ アーモンドアイ
〇 ラッキーライラック
▲ (該当なし)
△ カンタービレ
× トーセンブレス
× パイオニアバイオ
注 ゴージャスランチ