2018年11月11日に京都競馬場で行われるエリザベス女王杯(GⅠ、芝2200m)の予想ページです。
今回は少しプライベートが忙しいので、かなり内容を絞ってお送りしたいと思います。また一気に書くのが難しいので、少しづつ追記していくことをお許しください。
Contents
エリザベス女王杯の展望
非根幹距離で非主流血統が活躍
非根幹距離とは根幹距離(一般的に1200m、1600m、2000m、2400mなどを指します)ではないレースのことを言いますが、面白いことに根幹距離と違った血統構成を示すことは有名な話です。
有馬記念なども2500mということで、意外な馬が勝つことが多いのを実感されている方も多いとは思いますが、GⅠレースでは宝塚記念と同じ2200mでの開催ということで、普段GⅠではパッとしない種牡馬が激走したりしています。
具体的には、なぜかは分かりませんがヨーロッパ系の血をひく馬との相性がいいのは有名な話ですね。
GⅠにしては上りが遅いレース
先日は府中牝馬ステークスなんかでディアドラが上がり32秒台というとんでもない上がりを記録したりしており、東京競馬場の最近のレーススタッツは極端なものが多いのですが、このエリザベス女王杯に関しては、毎年それほど上りは速くないですね。
勝ち負けするような馬はさすがに33秒台で走破していたりしていますが、レーススタッツ自体は34秒台から35秒台なので、逃げ馬がうまくスローに持ち込むことができると、時計勝負にあまり強くなさそうな血統でも勝負できるレースと言えますね。
恐らくこのあたりがヨーロッパ血統が走っている原因なのではないかと思います。
出走馬の寸評と血統診断
ハッピーユニバンス
父:ジャングルポケット 母の父:サンデーサイレンス
父ジャングルポケットはトニービンの血を引く欧州色の強い血統ですが、好調時にこそ信頼できる血なので狙えませんね。
母系はアメリカ色の強いパワー系の配合で決め手の部分でも心もとないです。
フロンティアクイーン
父:メイショウサムソン 母の父:サンデーサイレンス
勝ちきれないレースが続く同馬ですが大崩れしていないのは不気味ですね。
父メイショウサムソンらしさの感じられるしぶとい走りが持ち味ですが、父はサドラーズウェルズの血を引くオペラハウスにダンシングブレーヴというゴリゴリのヨーロッパ血統で、本流中の本流という感じです。
母の父サンデーサイレンスでスピードの底上げがされているものの、その先がブレイヴェストローマン×ダンディールートという少し古い配合が気がかりですが、父系のアクのほうが強そうで血統的にはかなり面白いと思います。
レイホーロマンス
父:ハービンジャー 母の父:サンデーサイレンス
今回エリザベス女王杯にはハービンジャー産駒が四頭出走していますが、メインストリームというよりもいつの間にか勝ち上がってオープンまで来ている馬が多いですね。
あまり調べたことはないのですがローカル開催で強みを見せているのかもしれません。
父ハービンジャーは元々はいかにもアメリカ系の血でしたが、デインヒルの血を介することによって今は完全にヨーロッパ競馬にはなくてはならないスピードの血になっています。またスタミナも代を経て補強されてきており、その完成形とも言えるのがハービンジャーと言えます。
今回気になるのはレイホーロマンスの激走があるのかという点ですが、僕はないと思います。
ハービンジャー産駒の場合、一流馬は早い段階から素質を見せ、GⅡ、GⅢあたりで弱い相手にしっかり勝つというのがほとんどですので、現在重賞の壁に当たっているので若干厳しいでしょう。
三代母の父はフェアリーキングがありますが、母の父サンデーサイレンスにシアトルスルーでアメリカ色も強く、この系統の走る配合である母系にスプリント系の血という法則に外れます。
プリメラアスール
父:スペシャルウィーク 母の父:アジュディケーティング
4歳時にこのレースで五着に入っており、逃げることが予想されます。
現在戦績が上がっていないので激走があるかということですが、母系はアメリカ色の強いスピード血統、父は根幹距離でこそ強いイメージのあるスペシャルウィークということで厳しいでしょう。
レッドジェノヴァ
父:シンボリクリスエス 母の父:ホワイトマズル
前走は京都大賞典でサトノダイヤモンドに二着に入っており人気しているようですが、個人的には少し人気しすぎのような気がしますね。
前走はサトノダイヤモンドとシュヴァルグランというGⅠホースがいましたが、両頭ともに最近調子はあまりよくなく、それ以外のメンバーも小粒でした。二着に来たことは評価できるにしても牝馬の一線級相手にどこまで通用するか、現状ではまだ信用しにくい部分があります。
父シンボリクリスエスはクリスエスの血を引く一流馬ですが、社台ファームの一流馬に配合されたものの、牝馬の質を考えると結果は微妙だった感じがします。それこそ現在はダート系の種牡馬になっています。
この父系の場合クリスエスとクリスと混同しがちですが、クリスエスはアメリカで活躍の多いロベルトの系統で分類としてはヨーロッパで活躍している血とは言えません。
母系はホワイトマズルやローソサイエティの血があるので完全にヨーロッパ型ですが、全体的には決め手やスピードというよりも、馬の格で判断するようなタイプに思えます。
好調なので当然馬券からは切れませんが、過信も禁物です。
アドマイヤリード
父:ステイゴールド 母の父:Numerous
昨年のヴィクトリアマイルの勝ち馬ですが近走不振です。
決め手に関しては最上位とも言えるレベルなので気になる一頭ですが、血統的にはサンデーサイレンス系の中でもディクタスの血を含み、非根幹系の距離に実績のあるステイゴールドの血を引いており、かなり怖いです。
母の父がMr.Prospector系でアメリカ色はありますが、母系はアイルランドの出のようなので、血統全体としてはヨーロッパ色を感じますね。逆にステイゴールドにスピードが追加されているような感じでバランスはいいように感じます。
この距離に実績のない同馬ですが、非根幹距離、ひと叩き、枠は真ん中、決め手は上位、距離延長ということで、ハマれば面白い一頭です。
凡走も十分あり得ますが、こういう馬に勝たれると癪なので僕は切りにくいですね。
モズカッチャン
父:ハービンジャー 母の父:キングカメハメハ
昨年の勝ち馬で一番人気が予想されます。僕も好きな馬です。
実績は最上位で、叩いてよくなるタイプなので本命は当然この馬なんですが、元々は機動力に優れた馬であり、鋭い決め手で勝ちきるタイプではないのが心配です。それこそ昨年のエリザベス女王杯までは善戦タイプだったことは忘れてはいけないでしょう。
当然今回も掲示板には載るものの、勝ちきれないことは十分予想されます。
父ハービンジャーの説明は省略するとして、母系はキングカメハメハ×ストームバード×チーフズクラウンということでヨーロッパでも通用はしそうなもののアメリカ型ではありますね。ま、父がハービンジャーなのでそちらの影響のほうが強いのでしょうが、本命馬としては若干危ないですね。
カンタービレ
父:ディープインパクト 母の父:Galileo
オークスの大敗があるぐらいで、まだ完全に底を見せたわけではないディープ産駒。当然ここは切れませんね。
母系がヨーロッパ血統でヨーイドンの切れ味勝負になるとつらそうですが、この距離で逆に合いそうです。
クロコスミア
父:ステイゴールド 母の父:ボストンハーバー
昨年の二着馬ですが、今年は海外遠征もあったせいか順調さを欠いています。
父ステイゴールドは説明不要でしょうが、母系はいかにもヨーロッパ血統という肌にアメリカ血統が配合されており、このあたりのバランスがどうかなという感じはしますね。
ただ、今回は展開に恵まれそうで切りにくい一頭です。
ヴィフラーム
父:ハービンジャー 母の父:ジャングルポケット
条件戦を勝ってオープンに上がってきたばかりの6歳牝馬で、少し厳しそうな感じがします。
ただ馬券的に大穴狙いをするとすれば、血統的にはザ・ヨーロッパ血統なので無理すれば買えないことはありません。
まぁ、それでも実績的にはもっと内枠が欲しかったところですし、ポーンとスタートよく飛び出せれば・・・掲示板ぐらいはというところでしょうか。
スマートレイアー
父:ディープインパクト 母の父:ホワイトマズル
母系は完全なヨーロッパ血統、父ディープインパクトは最近向こうでも結果を残しているので、この馬もヨーロッパ的な配合と言えるのですが、すでに8歳で年を取り過ぎた感があります。
個人的には一生懸命走る姿が好きな馬なんですが、せめて内枠がほしかったところですね。調子の良さ+流れに乗ってこその馬なだけに今回は厳しいと思います。
リスグラシュー
父:ハーツクライ 母の父:American Post
父ハーツクライは母の父にトニービンをもつのでステイゴールドと同じくサンデーサイレンス系の種牡馬の中でもヨーロッパ型とも言える種牡馬です。
また母系もシーバードやミルリーフなどにつながる血を持っておりアメリカ的な要素はあまりありません。つまりは血統的には怖いというところですが、問題は距離でしょうね。
戦績的に安定感や終いの脚はしっかりしているものの、以前主戦を務めていた武豊騎手はかなりうるさい馬といっていただけにこのあたりが心配です。
大人しく回ってこれれば十分怖い一頭なんですが、今回は距離実績のわりに少し人気し過ぎているような気もします。
走っても納得、飛んでも納得の馬ですね。直感的には何となく切りたい気もするんですが、はたしてどうしよう・・・という感じです。
ノームコア
父:ハービンジャー 母の父:クロフネ
鞍上は絶好調ルーメル、レベルの高い三歳牝馬ということで人気しているようですが、気になるのは母の父クロフネという点ですね。
元々母系がサンデーサイレンス×ミスタープロスペクターというアメリカ型のスピード配合なだけに、ここにいかにもアメリカ型のクロフネが配合されているのは、どうしても気になります。
前に行ける点も魅力ですが、ここでこの馬が勝つようならハービンジャーという種牡馬の評価もさらに上がりそうだし、かと言ってそこまで超一流の底力をもつ種牡馬かというとまだ信用しきれず、面倒な馬が人気しているなと感じてしまいます(笑)。
ただ、この一年の競馬を見ているとやっぱりルメールには逆らいにくいですよね。
ワンブレスアウェイ
父:ステイゴールド 母の父:Storm Cat
オープン入りしてからはそれほど目立った実績を残せていません。
ステイゴールドにアメリカ型の母系がどう出るかという気もしますが、決め手はありそうな配合ですし、よく見るとこの馬京都は初めてのようなんですよね。
穴としては買えなくもないですね。
エテルナミノル
父:エンパイヤメーカー 母の父:フジキセキ
完全にアメリカ型の配合でいかにもパワー系の配合です。またエンパイアメーカー産駒は日本では底力が足らなさそうなので、ここでは厳しいような気がします。
コルコバード
父:ステイゴールド 母の父:エンドスウィープ
重賞での実績はありませんが、上り馬でまだ底を見せていない未知の魅力があります。
ステイゴールドに母系はエンドスウィープというあまり見ない配合ですが、さらに最近目にすることも少なくなってきたリボーの名前などもあるので、血統表を見た第一印象は少しバランスが悪そうかなと感じましたね。
秀才型のエンドスウィープが母の父なのでボロを出すまでは追っかけてもイイとは思うのですが、GⅠともなるともう少しだけスプリント系の血が欲しいところですね。
ミスパンテール
父:ダイワメジャー 母の父:シンボリクリスエス
昨年の末から今年の春にかけて四連勝を飾った同馬ですが、ここ二戦はパッとしません。
血統構成は面白く、父はダイワメジャーで母系はシンボリクリスエス×マルゼンスキー×シルバーシャークとアメリカとかヨーロッパというよりも完全に日本血統という感じになっています。
全体的なイメージとしては少しスプリント力に欠けるという感じなんですが、ダイワメジャーがどうしてもクラスが高くなると短めの時計のかかるレースでしか活躍していないだけに、この距離だとちょっと底力不足かなという感じはしますね。
配合そのもののバランスは正統派でお手本通りという印象ですが、血統的に大外ぶん回してどうにかなるような血にも見えません。
エリザベス女王杯2018予想
一応仕事の疲れにヒーヒー言いながら全馬見てみましたが、馬券的には正直スルーしたほうがいいようなメンツですね。
何が起こるか分からない馬が多く、かといって配当がつかない可能性もあったりして、正解は”見”というのが答えのような気がするんですが、ハービンジャーやステイゴールドという買うと来ない、買わないと強い勝ち方をする馬が人気しているので、こういう時こそディープインパクトなのかな?というのが長年の感ではありますね。
となるとカンタービレなのかなぁ・・・
とにかくあまり人気馬に信用を置きすぎるのも禁物なメンバーなので、少額投資にしておいたほうがいいと思います。
◎ モズカッチャン
〇 カンタービレ
▲ ノームコア
△ クロコスミア
△ レッドジェノヴァ
× フロンティアクイーン
× アドマイヤリード
× リスグラシュー