クラシックとは無縁 現時点でのスピードと完成度が高い馬は?
今週は第71回朝日杯ヒューチュリティステークス(以下:朝日杯FS)の予想を行っていきたいと思います。
先週の阪神JFは本命馬に指名していあウーマンズハート(父ハーツクライ)が四着に終わったものの、対抗馬に指名していた四番人気レシステンシア(父ダイワメジャー)が衝撃の走りで勝利しました。
結果的に馬券に絡むと見ていた七頭のうち六頭が六着までに入ったのですが、やはりここでも重要となりそうなのは血統です。
現在の阪神競馬場での開催となってから三着以内に入った馬を見ると、昨年の三着馬であるグランアレグリアが桜花賞を勝ちはしたものの、アドマイヤマーズ、エアスピネルといった実力馬もクラシックでは馬券に絡むことができませんでした。
そう考えるとスケール感というよりも、二歳時点での完成度が問われるということが分かります。
果たして現時点でより完成している馬はどの馬なのか血統を中心にみながら探してい見たいと思います。
過去五年間の上位馬
そこそこ強い馬が勝っていると思う反面、そう言えばこういった馬が二着、三着に来ていたなという忘れられた馬も上位に来ていますね。
ランキング上位種牡馬以外でも好走しており中々読むのが難しいレースなのかもしれません。
2018年 アドマイヤマーズ
一着:アドマイヤマーズ(父ダイワメジャー、二番人気) 二着:クリノガウディ(父スクリーンヒーロー、九番人気) 三着:グランアレグリア(父ディープインパクト、一番人気)
2017年 ダノンプレミアム
一着:ダノンプレミアム(父ディープインパクト、一番人気) 二着:ステルヴィオ(父ロードカナロア、三番人気) 三着:タワーオブロンドン(父Raven’s Pass、二番
2016年 サトノアレス
一着:サトノアレス(父ディープインパクト、六番人気) 二着:モンドキャンノ(父:キンシャサノキセキ、七番人気) 三着:ボンセルヴィーソ(父ダイワメジャー、十二番人気)
一番人気ミスエルテ(父Frankel)、二番人気ダンビュライト(父ルーラーシップ)、三番人気クリアザトラック(父ディープインパクト)はそれぞれ四着、十三着、七着。
2015年 リオンディーズ
一着:リオンディーズ(父キングカメハメハ、二番人気) 二着:エアスピネル(父:キングカメハメハ、一番人気) 三着:シャドウアプローチ(父ジャングルポケット、十一番人気)
2014年 ダノンプラチナ
一着:ダノンプラチナ(父ディープインパクト、一番人気) 二着:アルマワイオリ(父:マツリダゴッホ、十四番人気) 三着:クラリティスカイ(父クロフネ、番人気)
二番人気ブライトエンブレム(父ネオユニヴァース)は七着。
出走予定馬の寸評と血統評価
今回も種牡馬別に行っていきます。
レッドベルジュール
父:ディープインパクト 母の父:Unbridled’s Song(Fappiano~Mr Prospector系)
今回はディープインパクトは一頭のみの出走となりますが、二戦二勝でノーザンファーム産ということもあり、上位人気が予想されます。全姉のレッドベルローズやレッドベルディエスは重賞で勝ち負けしているので牝系の質は高そうですが、この母からは初めての牡馬ということで期待されますね。
ディープインパクト×Unbridled’s Songの配合はリアアメリアと同じ配合ですが、母の母の父はスピードタイプではあるものの底力に欠けるミスターグリーリー(Mr Greeley)と爆発力のあるストームキャット(Storm Cat)という違いがあるので配合的にはこちらのほうが大舞台には強そうです。
配合的には早熟性もあり、1400mでも勝ち負けできるスピードのある配合なのでレースにはこのレースには合っていますね。
エグレムニ
父:キセキ 母の父:ファルブラヴ
前走は1勝クラスでしたが二連勝をかざり、三戦二勝でこのレースを迎えます。
母ビーチアイドル、祖母ビーチフラッグはともに重賞勝ちこそありませんが重賞の出走歴もあり社台ファーム産の馬です。
血統構成は父の母の父がストームキャットで、母系もフェアリーキング(Fairy King)系のファルブラヴにダンジグ(Danzig)系のバウンダリー(Boundary)にウッドマン(Woodman)と全体期にはかなり早熟性を意識したようなスピード配合になっています。
配合的には血統的な奥行きや大物感、爆発力には期待できませんが一線級の対戦がないので極端な展開になった時の三着候補でしょうか。
ただ時計勝負には厳しそうですし、外枠に入ったら消しですね。
ビアンフェ
父:キセキ 母の父:サクラバクシンオー
父キズナを生み出したことでも知られるノースヒルズ産の馬です。そのためこのキズナ産駒にはかなり力を入れていることが予想されます。
それを示すかのように祖母アジアンミーティアは地方で四勝したのみの馬ですが、兄には名種牡馬として名をはせたアンブライドルズソング(Unbridled’s Song)を持つ良血馬となります。
母の父がサクラバクシンオーなので若干スピードを意識した配合にはなっていますが、全体的には父がディープインパクト系のキズナで母の父がサクラバクシンオー、祖母はアメリカで実績のある種牡馬の妹となるとキタサンブラックに似たような配合になっています。
祖母の系統からそこまで大物が出ていないので大物感という点では信用しずらいのですが、まだ底を見せておらず血統的バックボーンからまったく軽視はできませんね。
ラウダシオン
父:リアルインパクト 母の父:Songandprayer(Fappiano系)
社台ファーム白老ファーム産の馬です。前走はもみじSを勝って三戦二勝ですが、一線級との対戦が初めてとなるので試金石となりそうです。
血統的には面白くて、父リアルインパクト、母の父ソングアンドプレイヤー(Songandprayer)、母の父キャットシーフ(Cat Thief)と配合されており、いずれも偉大な父であるディープインパクト、アンブライドルズソング、ストームキャットの子供で代替種牡馬が代々配合されているように見えます(実際の事情は分かりませんが・・・)。
そのため全体的にはパッと見底力というか大物感は感じないんですが、三代母の近親になるとアメリカの錚々たる一流馬がおり、あまり軽視してもいけないかな?という感じはしますね。
おそらくリアルインパクトからは短めの距離をスピードで押し切るタイプが大成すると思うので、内枠に入った時は押さえておいてもいいのかもしれません。
ただこれまで時計の出る馬場で走っておらず能力的な評価は現時点ではしにくいですね。
個人的には父系からもメドウレイク(Meadow Lake)やインリアリティ(In Reality)などの北米色の強い血があるので早熟なパワー型ではないかな?と予想しています。
ちなみに兄アンブロジオ(父ローズキングダム)は僕が2018年のPOGで指名していた馬なんですが、若い時はスピードを見せていたんですが古馬になって頭打ちになっており、今がピークの血統なのかもしれません。
サリオス
父:ハーツクライ 母の父:Lomitas(Nijinsky系)
サウジアラビアロイヤルカップを1分32秒7という二歳戦でのレコードタイム(のちに阪神JFでレシステンシアに破られました)で制し一番人気が予想されます。
同レースは昨年がグランアレグリア、一昨年がダノンプレミアムと朝日杯で好走した馬が勝っているので信頼できるレースでもありますし、二着に入った同じハーツクライ産駒のクラヴァシュドールが阪神JFで三着と好走していることからも人気は当然と言ったところでしょう。
能力面に関しては非の打ち所がなく好走は間違いないと思いますが、勝ちきるとなると血統面に関しては若干の心配はあります。
それが全体的に若干スプリント力に欠ける点です。
母はドイツダービー馬サロミアで姉にローズS二着馬で重賞戦線で活躍を続けるサラキアという良血馬ですが、母系はドイツ血統そのもので母の父がニジンスキー(Nijinsky)系のロミタス(Lomitas)で母の母の父がジャパンCでも走ったことがあるタイガーヒル(デインヒル系)となっており、阪神のマイル戦で要求される一瞬のキレ勝負には一抹の不安を残します。
ドイツ血統なのでイギリスの馬ほど重くなることはないのですが、GⅡで好走してGⅠで人気になりちょい負けがお約束のハーツクライ産駒ということもあり、単勝で買うのは僕は少し怖いですね。
あとはライバルがそれほど強力ではないので能力でどこまで押し切れるかでしょう。
本命馬はこの馬以外はありえないのですが、個人的には二着か三着ではないかなと予想します。
ペールエール
父:ダイワメジャー 母の父:Selkirk(エタン系)
デイリー杯2歳Sの三着馬です。新潟2歳Sでもウーマンズハートの二着と粘った馬ですね。
走りは先行して最後粘りこむというダイワメジャー産駒らしい走りを見せていますが、母系はヨーロッパ型の独特の配合となっています。
母の父セルカーク(Selkirk)はチャンピオンマイラーとして活躍し一流の種牡馬として活躍馬を送りだしている馬ですが、日本でも導入されたこともあるエタンの血を引いています。
母の母の父もフランスで種牡馬としても活躍したリナミックス(Linamix)ですが面白いことにその父メンデスも日本で導入されています。
ただ、エタン、メンデスともに早熟なスピード馬を出したものの日本では成功していないのですが、やはりこういった母系だと信頼はしづらいところで、古馬になってもしぶとく走っているかは疑問ですね。
あくまで早い時期からどれぐらい稼げるかが重要なタイプだと思いますが、人気どおりにはしるダイワメジャー産駒ということからも、四コーナーまで見せ場を作ってあとは馬群に飲み込まれていくのではないかと思いますね。
あくまで掲示板前後なのではないのでしょうか。
クリノプレミアム
父;オルフェーヴル 母の父:Giant’s Causeway
四戦目で勝ち上がってきた馬です。
父は最近地味にランキング順位を上げてきているオルフェーヴルですが、ここまで若干牝馬の活躍のほうが目立っているので早く牡馬の大物を見てみたいところですね。
さて母系ですが母の父は阪神JFでも名前のでてきたジャイアンツコーズウェイ(Giant’s Causeway)で母の母の父はゴーンウエスト(Gone West)となっており全体的にはアメリカ型の配合にはなっているものの、比較的ヨーロッパでもやれそうな配合ではあります。
ただ牝系はさかのぼるとアメリカの重賞の勝ち馬が出ているものの、日本では目立った活躍馬がいません。
配合的には三歳や古馬になって爆発的に成長するタイプでもなくここは厳しいのではないのでしょうか。本質的にはもうちょっと距離もながめのほうがいいでしょう。
ジュンラインボルト
父:キングカメハメハ 母の父:スペシャルウィーク
前走は1勝クラスを三着でしたが、三代母はあのエアグルーヴという名門牝系出身の馬となります。生産牧場もノーザンファームということで将来が楽しみです。
前走はマイルでしたが、デビュー戦は2000mを使われたように母方がスペシャルウィーク×フレンチデピュティだと配合的には長めの距離で鋭い決め手を見せてくる配合だと思います。
マイルだと違いを見せづらいタイプにも感じますし、父系母系ともに仕上がりは決して早くないのでやはり三歳になってからの馬でしょう。
ただ超大物に育ってもおかしくない配合ではあるので、完全に予想から切るのも怖いところですね。
まぁ、それでも活躍するとしても一年後だと思うんですけど…。
メイショウチタン
父:ロードカナロア 母の父:マイネルラヴ
今回唯一のロードカナロア産駒です。非ノーザンファーム生産馬ですが三代母ココパシオンの妹にはオークス二着馬リトルオードリーがいるなど侮れない牝系です。
父ロードカナロアはその父キングカメハメハ同様母系の影響を受けやすい種牡馬ですが、シーキングザゴールド産駒のマイネルラヴにダンスインザダークという配合で、距離的限界はありそうな印象を受けます。
母系全体は若干タフそうなので阪神のマイルというよりも京都や非根幹距離のほうが合いそうですね。
グランレイ
父:ルーラーシップ 母の父:ファルブラヴ
ルーラーシップ産駒ですが非ノーザンファーム産馬です。二戦一勝。
母系は母の父がフェアリーキングの血を引くファルブラヴですが、かなり牝馬が走る種牡馬ですし、母の父としても存在感のある種牡馬なので悪くはないと思います。
ただ母系にあまり活躍馬がおらず、母の母の父がフジキセキということで、若干血統的に奥行きが感じられません。
気性的にも少し難しそうなタイプにでそうですし、いきなりGⅠでどうにかなるかというと疑問です。
カリニート
父:ルーラーシップ 母の父:フジキセキ
新馬戦を勝っていますが、ここ三戦いいところがないようです。
ノーザンファーム産の馬ではありませんし、近親に目立った馬がいないのでここから大きく変わるような感じもしませんね。
母系がフジキセキ×リファール系のトロメオで時計はかかったほうがいいでしょうね。
タイセイビジョン
父:タートルボウル 母の父:スペシャルウィーク
京王杯2歳Sの勝ち馬で三戦二勝です。
トリオンフぐらいしか思いつかない、あまりなじみのないタートルボウル産駒ですが、社台SSで繋養されていた種牡馬でありタイセイビジョンも同グループのノーザンファーム産となります。
僕自身もタートルボウルの傾向についてはいまのところつかみ切れていないのですが、母系のスペシャルウィーク×エルコンドルパサー×ノーザンダンサーという配合から推測すると、一瞬のキレというよりもある程度我慢比べで勝負するタイプかなという感じはしますね。
父系も爆発力満点という感じもしませんのでこういうタイプはスローの瞬発力勝負になるとやはりつらいのではないのでしょうか。
過去の京王杯2歳Sの勝ち馬を見てもあまりレベルの高い馬が出てくるレースとも思えず、過大評価は禁物という感じがします。
ペースがある程度早くなってほしいところですね。
タガノビューティー
父:ヘニーヒューズ 母の父:スペシャルウィーク
二戦二勝ですが、初めての芝であり、一線級との対戦は初めてとなります。
血統を見ると近親に目立った馬はいませんし、父ヘニーヒューズから日本ではイマイチ大物が出ていない点からもかなり厳しいのではないのでしょうか。
母系にはスペシャルウィーク×ウッドマン×ノーザンダンサー×ヒズマジェスティと中々底力のある血がならんでいるのですが、父系がストームキャット系で母系にウッドマンの血があると、どうしても早熟な早枯れタイプではないのかな?と思ってしまいますね。
ダートのレースでも後ろからの競馬になっており、後ろのままという可能性は十分考えられます。
トリプルエース
父:Shamardal 母の父:サンデーサイレンス
デイリー杯2歳Sの四着馬です。小倉2歳Sでは二着に入っています。
ゴドルフィングループの生産馬ですが、父はフランスや香港などで実績のあるシャマルダル(Shamardal)なので、ヨーロッパの種牡馬の中では日本の馬場への適性のある種牡馬です。
ストームキャット系の中では中距離・底力型のジャイアンツコーズウェイの血を引いているので、日本ではあまり大物がでてこないヘニーヒューズなどの系統とどういった違いを出してくるか注目です。
母トリプルビットはサンデーサイレンス×ミスタプロスペクターという配合なので父系を含めるとおそらく距離はマイルまでの馬なのではないかと推測します。
中々爆発力のある血をもっているので注意は必要ですが、こういった血統の超一流馬は早い段階から素質を見せて徐々に尻すぼみになっていくので、ここから一変するかな?とも思いますね。
ただ、ライバルがそれほど強力ではないので思い切った乗り方をすれば穴としてはおもしろいかもしれません。
マイネルグリッド
父:スクリーンヒーロー 母の父:ロージズインメイ
小倉で三連勝していた馬ですが前走の京王杯2歳Sでは大敗しています。
伯父にドリームバレンチノがおり、そこそこな母系ではありますが、ロージズインメイ×マイネルラヴ、ブレイヴェストローマンとスピード感はあるものの、爆発的なスピードというよりも仕上がりで勝負するタイプのスピード馬の血で構成するので大物感はまったく感じません。
父スクリーンヒーローということからも意外性のある走りは期待できますが、前走大敗しておいて巻き返してくるような血かというと信用できません。
ウイングレイテスト
父:スクリーンヒーロー 母の父:サクラユタカオー
デイリー杯2歳Sの二着馬です。
近親にはオークス馬チョウカイキャロルがいます。
爆発的な切れ味やスピードをもつ血統構成という感じではないのですが、父スクリーンヒーローや母の父サクラユタカオー、母の母の父ブラッシンググルームなど、ハマるとかなり強い馬が出てきそうなイメージがあります。
ただやっぱりメインストリームをはるような配合でもなく少し最近のトレンドの血が足らないので特定の条件下でのみ走るタイプなのではないかと思います。
底を見せると早めに燃え尽きそうな感じもしなくもありません。
プリンスリターン
父:リターンエース 母の父:マンハッタンカフェ
リターンエースはシンボリクリスエス×スマートストライクという配合ということや母系はマンハッタンカフェ×ロイヤルスキーという配合だと、直線で爆発的に伸びるという感じはしませんね。
やっぱりちょっとパワー系の馬という印象で時計はかかったほうがいいでしょう。
予想
◎ サリオス
〇 レッドベルジュール
▲ ビアンフェ
△ タイセイビジョン
× ウイングレイテスト