ウーマンズハート:2017年生まれのクラシック候補の能力分析(1)

投稿者: | 2019年8月29日

32秒台の末脚炸裂で牝馬クラシックの有力候補に

2019年はディープインパクトやキングカメハメハという近年日本競馬を引っ張ってきた種牡馬が相次いで亡くなったほか、海外でも海外でも昨年の凱旋門賞二着馬で今年も現役を続行していたシーオブクラス(父Sea the Stars)や昨年のヨーロッパ年度代表馬で種牡馬入りしてたロアリングライオン(父Kitten’s Joy)が亡くなるというショッキングなニュースが続きました。

こういったスターホースたちの死は本当に残念でなりませんが、レースは世界中の常にどこかで行われており、もしかしたら今どこかで将来のスター候補がデビュー戦を走っているのかもしれません。

目をつけた一頭の新馬がスターホースとして成長していくのは競馬の醍醐味のひとつですね。

そんな中、先日の新潟2歳ステークス(GⅢ)ではウーマンズハート(父ハーツクライ)という牝馬が二戦続けて32秒台の末脚を繰り出し見事勝利しています。

まだ8月も終わろうとしている段階であり、これからどんどん有力馬たちがデビューしていくわけですが、今回この馬を記事をする機会に2017年生まれの有力馬(2020年のクラシック候補)をシリーズ化して取り上げ、将来性などを分析してみたいと思います。

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ウーマンズハートの血統

2017年2月8日 ダーレージャパンファーム生産

ハーツクライ
2001 鹿毛

父の父

*サンデーサイレンス
Sunday Silence
1986 青鹿毛

Halo Hail to Reason
Cosmah
Wishing Well Understanding
Mountain Flower
父の母

アイリッシュダンス
1990 鹿毛

*トニービン *カンパラ
Severn Bridge
*ビューパーダンス Lyphard
My Bupers

レディオブパーシャ
2008 栗毛

母の父

Shamardal
2002 鹿毛

Giant’s Causeway Storm Cat
Mariah’s Storm
Helsinki Machiavellian
Helen Street
母の母

*ビールジャント
Birjand
1999 鹿毛

Green Desert Danzig
Foreign Courier
Belle Genius Beau Genius
BTime and Tide

父ハーツクライは2010年に産駒がデビューして以来安定した種牡馬成績をほこり、ディープインパクト、キングカメハメハという両巨頭には及ばないものの、2014年からは常に3位もしくは4位をキープするなど安定感をほこります。

勝ち馬率は約4割5分を超えていますが、ディープインパクトの約6割3分は別格としても、キングカメハメハやダイワメジャーに次ぐ優秀な数字と言えます。

また、アーニングインデックスが約1.5(1が平均値)というのはディープインパクトの2.7、キングカメハメハの1.9、ステイゴールドの1.6に次ぐ優秀さです。(ステイゴールドはすでに亡くなってから数年経っているので存命時より当然高くなっています)

また、ディープインパクトやキングカメハメハ、ステイゴールドほど重賞を勝っているわけではないのですが、トップテン常連種牡馬の中でもここ一番での勝負強さを見せる産駒が多いのも特徴です。

上級馬には、シュヴァルグランやジャスタウェイ、リスグラシューやスワーヴリチャードなどがいますが、どちらかと言えば善戦タイプと思ってたら突然物凄い勝ち方をするという馬が多く、これは父ハーツクライが国内では唯一ディープインパクトに土をつけたように、ここ一番での”刺客”ぶりをよく伝えているような気がします。

どの馬もGⅠを勝つときはいつもより前目にいって先行押し切り勝ちというのが多いですね。

全体的な産駒の特徴としては、三歳以降の安定した成績を残す成長力のほか、天皇賞・春などを好走している馬が多いようにスタミナが武器となります。また単なるスタミナ一辺倒の馬ばかりでなく、クラシック戦線では勝ちきるまではいかないまでも有力候補を安定して送り出している種牡馬です。

また傾向的に牡馬に活躍馬が多いのが特徴で、一線級で長く活躍している牝馬がリスグラシューのみというのも他の種牡馬とは若干違った傾向と言えますね。

当初は500万円だった種付け料は一旦下落したものの、現在は800万円まで上昇しています。

母系を見ると、まず母レディオブパーシャは中央で2勝したのみの中級馬となりますが、伯父(母の兄)には香港を中心に活躍し14勝をあげたLucky Nine(ラッキーナイン)にいる他、叔父(母の弟)はサドンストーム、ティーハーフという短距離の重賞戦線で活躍した二頭がいるなど、中々の牝系と言えます。

まぁ、あの世界規模で活躍馬を生産しているゴドルフィン軍団の牝系ということで下地は十分でしょう。

母の父Shamardal(シャマルダル)はフランス2000ギニーとフランスダービーを制した7戦6勝の名馬ですが、日本ではあまりなじみがないものの、フランスを中心に大きなレースを勝つなど有力馬を送り出しているようです。

さかのぼると日本では母の父として近年抜群の存在感をほこるStorm Cat(ストームキャット)に行きつき、兄弟が活躍しているのもこのあたりの血の影響があるのかもしれません。

全体的な血統構成から受ける印象としてはハーツクライの父としての影響が相当強いので、本質的にはマイルあたりがベストとしても中距離タイプという感じがしますね。

オークスなどにも対応できるでしょうが、リスグラシューよりもスピード型の血統なので、あくまで気性や乗り方次第というのが血統からうけるイメージとなります。

レース分析

新馬戦

2019年8月9日 新潟外回り 芝1600m 良馬場

一着 6枠12番 ウーマンズハート(三番人気) 1分36秒2 上り32秒0
二着 2枠4番 マルターズディオサ(二番人気) 1分36秒8 33秒3
三着 6枠11番 アミ―クス(四番人気) 1分37秒3 33秒3
六着 4枠7番 シンハリング(一番人気) 1分38秒2 34秒0

レースラップ

12.7 – 12.1 – 13.0 13.3 – 12.4 – 11.1 10.710.9

前半:51秒1 後半45秒1(マイナス6秒0)

内容

逃げたのは押して出ていった二番人気マルターズディオサ(父キズナ)でした。

前半からかなり遅いペースだったものの道中特にかかったような感じの馬もなくスムーズに直線を迎えましたが、他の上位人気馬は中段の同じような位置取りで、勝ったウーマンズハートは同じ6番枠のアミ―クス(父オルフェーヴル)の後ろでマークしていたという乗り方でしたね。

残り3ハロンあたりから全馬が一斉に動き始めたものの、アミ―クスと同時に動き出したウーマンズハートは一瞬で差をつけ、あとは逃げたマルターズディオサをとらえてゴールしました。

ラスト1ハロンは上位入線馬の脚色はほぼ似たような感じでしたが、勝負所でのスピードが一頭だけ違うという感じでしたね。

一番人気シンハリング(父ダイワメジャー)は追い出してからの反応が悪く、得意な展開ではなかったという印象です。一旦叩いてどう変わるかという感じでした。

ウーマンズハートはおそらく上り3F続けて10秒台のラップを刻んだと推測されますが、内容的には逃げて二着にきたマルターズディオサもしっかり最後まで脚色がよかったので相手が悪すぎたいう印象でしたね。

新潟2歳ステークス(GⅢ)

2019年8月25日 新潟外回り 芝1600m 良馬場

一着 3枠6番 ウーマンズハート(一番人気) 1分35秒0 上り32秒8
二着 7枠13番 ペールエール(三番人気) 1分35秒1 33秒0
三着 4枠7番 ビッククインンバイオ(八番人気) 1分35秒4 33秒9

レースラップ

12.5 – 11.1 – 12.5 – 13.0 – 12.3 – 11.0 11.0 – 11.6

前半:49秒1 後半45秒9(マイナス3秒2)

内容

デビュー戦の内容から一番人気に押さえれていたウーマンズハートですが、この日もスムーズなスタートでした。

レースは出足よく出ていった唯一の二勝馬エレナアヴァンティ(父アドマイヤムーン)が引っ張る形となり、これをビッククインバイオ(父キングズベスト)が追走。ウーマンズハートにとっては新馬戦より最初の800mが2秒ほど速いレースでしたが、それでも後半が前半に比べて3秒2も速かったのでレースとしては完全にスローの上り勝負となります。

各馬残り600mあたりから行き足をつけ始めるとここからはヨーイドンのレースとなりました。

直線中盤から各馬伸びる中、まず手ごたえが目立ってよかったのがウーマンズハートより若干前にいたペールエール(父ダイワメジャー)でしたが、ウーマンズハートは他も伸びていたせいもあってか、若干騎手の反応に遅れるシーンも見えました。

エンジンがいよいよかかりペールエールに並びかかるところで一旦内にささりますが、もう一度追いなおすと一気にこれを交わしにかかります。

ただ、再び内にささる様子を見せたため騎手が左鞭で修正し中々引き離すことはできません。結局ペールエールと馬体を完全に引き離すことができずゴールとなりました。

スタッツとしては32秒台の末脚を駆使した形にはなりましたが、直線では若干フラフラした内容であり、そこは少し気になる内容でしたね。

三着のビッククインバイオも二番手追走ながらしっかりと最後まで伸びており、やはり前に行った馬にとっては楽なレースだったようです。

血統とレース内容による能力分析

今後は出走レースを見ながら評価を追記していこうと思いますが、まずここまで二戦見た感じではやはり今後も重賞級で勝ち負けしていけるような能力がありますね。

やはりどスローとは言っても上り32秒台前半で上がってくるような馬はスピード性能が他の馬とは全く違いますので、新潟2歳ステークスは勝つべくして勝ったと思います。このレースはもう一頭モーベット(父オルフェーヴル)という馬が人気していたんですが、僕は重賞級の最高速度をすでに見せてくれていたウーマンズハートのほうが信頼できるという評価だったんですが正解でした。

ただ、今回も32秒台の末脚を炸裂させたということで、阪神JFや桜花賞の有力候補という評価をしている方もいらっしゃいますが、そこは少し早計かなという感じはしますね。

確かに32秒台の末脚を使ったという事実は評価ができるんですが、昨年の新潟組にはロックディスタウンやラッキーライッラクが同じように32秒台の末脚を見せて新馬戦を勝っているものの、ラッキーライラックはともかく、ロックディスタウンは三歳に入ると既にその姿はどこかへ行ってしまいました。

つまりは重賞級の馬であればどスローになればこれぐらいの脚は使えるということで過大評価は禁物と言えるわけです。

僕としては新潟2歳Sの内容で評価を落とすわけではないのですが、破った馬が比較的時計のかかるレースに強いダイワメジャー産駒(ペールエール)やキングズベスト産駒(ビッククインバイオ)ということを考えると、さらにペースが速くなってどうかな?という心配はありますね。

同型のディープインパクト産駒の重賞級がいれば同じようなレースができたでしょうし、今回の結果からは取りあえずためれば伸びるぐらいしか判断はできません。

また直線でのちぐはぐさを見るとハーツクライらしいというか、最後まで伸び続けるタイプではやはりないようで、一瞬の切れで勝負所で出てくるのがこの馬の本質のような気がします。

それぐらいハーツクライの影響力は強いと思いますね。

となるとコースによっては苦手なコースも出てくるはずで今後は取りこぼしもしていきそうな気がします。

母系はジャイアントコーズウェイ×グリーンデザートというストームキャット系とダンジグ系という最高速度に優れた配合になっているのでスピード勝負は持ってこいという感じはしますが、問題は気性的にプッツンすると途端に尻すぼみになってくる可能性がある点ですね。

そういった意味では現在の末脚が切れすぎる点が持続できるかという点は気になります。

一度東京コースか阪神のレースでの走りを見てみたいところですが、そこで勝ちきるようだとGⅠ級という見方もできますし、二着三着に惜敗するようだと三歳時のリスグラシューのような単なる善戦牝馬のような気がしますね。血統的にもリスグラシュークラスではないと思います。

血統的にはそこまで奥行きがあるようには感じないので、馬券から飛ぶようになってくると今後は疑ったほうがいいというのが現時点での評価です。

今の僕の中でのざっくりとした印象では阪神JFでは五着ぐらいの馬かな?思いますね。

理由としては母系が少しノーザンダンサーの影響が強いのがやはり気になりました。

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