サートゥルナーリア無敗でまずは一冠
第79回皐月賞(2019年4月14日、中山競馬場、芝2,000m、GⅠ)を振り返ってみたいと思います。
レースは単勝1.7倍という圧倒的な人気を集めたサートゥルナーリア(父ロードカナロア)が直線で追いすがる四番人気のヴェロックス(父ジャスタウェイ)を振り切っての勝利でしたが、三着にはダノンキングリー(父ディープインパクト)、四着にはアドマイヤマーズ(父ダイワメジャー)がはいるなど、人気を集めた馬たちがその実力をいかんなく発揮できた個人的にはかなりいいレースだったのではないかと思います。
また、昨年の牝馬三冠を達成したアーモンドアイに引き続いて二年連続でロードカナロア産駒からしっかり大物が出てきたり、二着にも新種牡馬ジャスタウェイの仔が入るなど、今後の血統勢力図の変化を感じさせる非常に興味深い結果だったのではないのでしょうか。
それでは上位入線馬や有力視されていた馬について個別に振り返ってみたいと思います。
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サートゥルナーリア (1着)
新たなる怪物候補
戦前の見立てでは一頭だけ力が抜けていると見て僕も本命馬にしていた同馬ですが、陣営のコメントなどによるとやはり目標は日本ダービーということで、少し余裕残しの仕上げだったようです。
それでいて今回の内容ですから相当強いということが改めて確認することができました。
レースは最初のコーナー手前でクリノガウディ(15番)が外から行ったために少しだけ行きたそうにしていた以外はほぼ完ぺきなレースだったのではないのでしょうか。
ペースも1000m時点での12秒5というラップが一番遅いというよどみのない流れで流れたこともプラスに働いたと思いますが、ミドルペースで進む中を中段の外目で追走していた時点で僕は勝利をほぼ確信しました。
ただ、計算外だったのは直線で一旦交わしたと思ったヴェロックスが差し返してきた場面でしょうか。僕もリアルタイムで見ていたのですが、四コーナーで楽々抜け出して直線あっさり交わすと思われたところをしぶとく食下がってきたのにはビックリさせられましたし、面白いライバルが出てきたなと思いましたね。
とは言っても、ほぼ完ぺきなレース内容に加えて、スローで見ると直線残り100mでヴェロックスを交わした時にスタンド側を物見しているなど馬自体は余裕たっぷりで、まだまだ力をすべて出し切っていない可能性もあり末恐ろしさも感じさせるレースでした。
はたしてあとGⅠを何勝をするのか期待が高まる馬だと思います。
ヴェロックス (2着)
一強体制に待ったをかけるライバル登場
サートゥルナーリアに次ぐ二番手グループはかなり混戦模様と見ていた中、各馬弱点を抱えると見て浮上してきたのがこの馬で僕も対抗(〇)に指名していましたが、思った以上に走りましたね。
直線で差し返してきた時にはサートゥルナーリアの単勝馬券を持っていたので、ヲイヲイ(笑)と思ったんですが、サートゥルナーリアを意識しての速めの仕掛けからあそこまで食い下がったのには非常に驚かされました。
このあたりはハーツクライの特性であるスタミナや踏ん張りとジャスタウェイのスピードを期待しての対抗指名だったのですが、思った以上の走りをしたと思います。
ただ、問題は日本ダービーに行ってどこまで上積みがある点なのですが、次走大きな上積みのありそうなサートゥルナーリアに対して今年三走目だったヴェロックス。今回は中々ハードなレース内容だったのでどこまでダメージが残っているのかも少し気になります。
今回の状態がどの程度だったのかは気になりますが、より馬場適正がよりあると見られる東京競馬場でサートゥルナーリアに対抗しうる最有力馬の一頭になったことは間違いありません。
この馬も中々いい血統なので将来的にも期待できますが、二着という結果はハーツクライ系らしいとも言えますね。
ダノンキングリー (3着)
枠順も結果に影響を与えたか
僕の予想では二番手グループと見ながら血統的に明らかに東京競馬場向きだったので四番手評価(△)としたんですが、良くも悪くも想像通りの着順でしたね。
レースは好位を進む形になりましたが、非社台系のディープインパクト産駒は後方から鋭い脚を使うというよりもこういったレースをする馬を最近はよく見ます。ただ、結果的には前にいた分最後は若干脚が残っていませんでしたし、外から伸びてきていた馬が多い中内を進むしかなかったのは少し残念だったかもしれませんね。
二枠ということもあり後ろへ下げると包まれる可能性もありましたし、もうちょっと真ん中目の枠だったら結果は変わっていた可能性はあると思います。
ダービーに向けては、今のところコース適性はあるものの同じレースをしていたのでは少し厳しいかなという印象は受けますね。
血統的に母系のストームキャット×オナーアンドグローリー(In Reality系リローンチの産駒)×Majestic Prince(その父レイズアネイティヴ)という配合がどうしてもディープインパクトと絡むとマイル型という感じがするんですよね。
ディープインパクト×ストームキャットの配合なら2000mなら十分こなせるとは思うんですが2ハロン伸びて先行策をとれるかというと若干気にはなります
アドマイヤマーズ (4着)
距離+決め手不足
昨年の朝日杯FS(GⅠ)の覇者であり二番人気に推されていたアドマイヤマーズでしたが結果は上位三頭から離された四着でした。
僕の予想では血統的な距離限界から馬券から切ってはいいいかな?と思ってはいたんですが、二歳牡馬チャンピオン(2018年の最優秀二歳牡馬)でまだ底を見せていない(一度の敗戦も前走の二着のみ)こともあり、父ダイワメジャークラスという可能性も捨てきれず押さえ(×)にはしていました。
結果的には想像通りの四着でしたし、こんなもんだろうと思います。
レースは四コーナーまで好位を進みましたが直線はヴェロックスの後ろに入る形にになり追い出しは少し遅かったんですが、こういうタイプは追い出したから伸びるというタイプでもなく、実際のところ残り1ハロンでは上位二頭にあっさり引き離されました。
もし勝ち負けするなら四コーナーで一気に上がっていく必要はあったんでしょうが、遅くはないペースだったせいもありあそこで動くとなるとやはりスタミナは必要だと思いますし、仮に動いていると大負けの可能性さえあったので難しいでしょう。
おそらくこのあたりはデムーロ騎手も距離不安を感じてので動くに動けなった部分はあるのでしょうが、結果的にも最後は一気に話されてこの距離では完全に決め手不足でした。
やはりマイルであったり、ある程度時計がかかる馬場でこその馬でしょうね。
個人的には単なる早熟タイプではなく、思っていたより強い馬だなと感じました。
まぁ血統的にはこの条件で二番人気になるような馬ではなかったと思うんですがね・・・。
クラージュゲリエ (五着)、ラストドラフト(7着)
将来的に楽しみ
僕が予想段階で血統的に面白く、注意馬として挙げていた二頭ですが、残念ながら馬券には絡まったものの好走したのではないのでしょうか。
それぞれ14番人気と15番人気という低評価だったのですがそれを上回る好走です。
いずれも中位を好走して最後の直線で詰めてくる形でしたが、内容としては上位馬に直線で置いて行かれているので、GⅠでは決め手不足なのは間違いありません。
ということで現時点ではGⅠを勝つ力はないのでしょうが、クラージュゲリエはキングカメハメハ×タニノギムレットという奥行きのありそうな配合ですし、ラストドラフトも父が明らかに決め手不足であろうノヴェリストでありながら母マルセリーナの力を証明するような走りでジワジワと伸びてきました。
ダービーでたちまち逆転できるような内容ではなかったと思いますが、このまま順調に成長するようだと両頭とも楽しみな感じがします。
ファンタジスト (13着)
マイルでも長い?
武豊騎手騎乗でサートゥルナーリアと同じロードカナロア産駒ということで僕も注目していた馬(×:連下評価)なんですが、結果は惨敗とも言える13着でした。
元々武豊騎手が珍しく距離不安を口にしていた馬なので、大敗もあり得るかな?と思ってはいたんですが、レースはロスらしいロスのない中での二桁着順ということで距離が長すぎたとしか言いようがありませんね。
武豊騎手も距離を気にして乗った中での負けでしょうし、今後は短距離路線にシフトしてくるのではないのでしょうか。
将来性はありそうなことはコメントからありますが、もしかしたら1400mあたりの距離がベストなのかもしれませんね。負け方からしてもマイルでもちょっと不安になってくる内容でした。
ニシノデイジー (17着)
早熟タイプなのかもしれない
ホープフルステークス(GⅠ)ではサートゥルナーリアの三着にも入っており、これまで大敗していないことなどからも本命の一頭に挙げていた方もちらほら見たニシノデイジーですが、結果は想像以上の大敗でした。
道中は若干勝浦騎手が手綱を引っ張っている感じだったので行きたがっていたんでしょうが、それでも四コーナー手前では各馬に置いて行かれるような感じだったので早々とレースが終わっていた印象ですね。
三代母がニシノフラワーということからも注目して単穴(▲)にも指名していたんですが、今回はさすがに負けすぎでニシノフラワーのような突然の燃えつきが頭に蘇ってきて早熟の心配がある同馬です。
結果的にはお父さんがハービンジャーということで少し買いかぶったかな?という感じもしますね。