三歳馬ステルヴィオが混戦を制す
2018年11月18日に京都競馬場で行われた第35回マイルチャンピオンシップ(GⅠ、芝1600m)を振り返ってみたいと思います。
一番人気はモズアスコットでしたが、単勝オッズ一けた台の馬が六頭もいたように上位の馬が拮抗しているというのが戦前の競馬ファンの予想でした。
レースは良馬場、18頭のフルゲートで行われ、結局このレースを制したのは短期免許で来日中のデンマーク人でイギリスを主戦場としているウィリアム・ビュイック鞍上のステルヴィオ(父ロードカナロア)で、これが人馬ともに日本でのGⅠ初勝利となりました。
ロードカナロア産駒としては三冠馬アーモンドアイに続く二頭目のGⅠホースの誕生となります。
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事前予想
枠順決定前の事前予想では下の馬に加えて、ミッキーグローリーやレッドアヴァンセ、ジュールポレールなどディープインパクト産駒を加えていましたが、これでは少し手を広げ過ぎとおいうことで以下に落ち着いていました。
僕も上位拮抗という見立てであり、ペルシアンナイトやモズアスコットも取りこぼす可能性は十分で、あくまで馬券の軸という見方をしていました。
◎ ペルシアンナイト
○ モズアスコット
▲ ロジクライ
△ アエロリット
△ エアスピネル
× ステルヴィオ
× アルアイン
さてそれでは詳しく見ていきたいと思います。
第35回マイルチャンピオンシップ(GⅠ)の結果
2018年11月11日 京都競馬場 芝1600m 良馬場
1着 ステルヴィオ × 1分33秒3
2着 ペルシアンナイト ◎
3着 アルアイン ×
4着 カツジ
5着 ミッキーグローリー
6着 ジュールポレール
7着 レッドアヴァンセ
10着 エアスピネル △
11着 アエロリット △
12着 モズアスコット 〇
13着 ロジクライ ▲
レースラップ
12.4 – 11.1 – 11.5 – 12.1 – 11.7 – 11.6 – 11.2 – 11.7
前後半800m(4ハロン)の対比だと
前半47秒1 後半46秒2
最速ラップが10秒台に入っていないのでそこまで時計のでる馬場はなかったようですが、ペースとしてはラップタイムの上下も少なく、やや遅めながらよどみのない流れだったと言えます。
レース内容
レースはジャンダルム以外はいいスタートを切りましたが、外枠で先行したかったアエロリットも少しダッシュがつきませんでした。
ある程度しかけることにより三コーナーに差し掛かるころにはアエロリットがなんとかハナに立つ形となり、その後ろにロジクライやアルアインがポジションをとります。アエロリットがしかけながら行った以外は予想でおりでした。
勝ったステルヴィオは四番手あたりにNHKマイルカップを勝っているケイアイノーテックとともにポジションを取っています。
決め手の鋭いペルシアンナイトやジュールポレール、レッドアヴァンセはともに中団に位置していましたが、騎手たちの読みとしてもそんな早くならないとの予想もあったのでしょう、このあたりは各馬理屈にそった位置取りだったと思います。
レースは四コーナー手前から動き出すことになりましたが、最終的に内でコースロスなく進めた内枠の三頭が抜け出す形になり、最後はステルヴィオがペルシアンナイトを振り切ったところがゴールでした。
三着のアルアインからレッドアヴァンセまではほとんど横一線であり、ハンデ戦のような直線でしたね。
レースの感想
さて、ここからはレースを振り返ってみたいと思いますが、予想は先週のエリザベス女王杯に引き続き的中する形となりました。そしてまたしても馬券収支はちょっとだけマイナスです(ナゼに・・・)。本当に三連複はやめねばと感じてしまいますが、秋競馬は天皇賞・秋以外は予想が冴えているので、有馬記念までこの調子で行きたいと思います。(いい加減三連複のほうは控えたいと思います)
よどみのない流れで枠の差が出た
レースの中身のほうは騎手泣かせの中々難しいレースでしたね。
思ったほどペースが遅くならずに、直線まで垂れてくる馬もいないので、外枠の馬はもろに枠順の影響を受けたと言っていいでしょうし、上位三頭はやはり内を回れたのは大きかったと思います。
僕がペルシアンナイトを本命にしたり、本来切りたかったアルアインを切らなかったのもこのあたりに理由があったのですが、レースの流れとしてはほぼ僕の読んだ通りの展開であり、ペルシアンナイトが僅差で負けたこと以外は完璧でした。
これが内外枠順が逆だったら着順はまた大きく変わったと思います。
またアエロリットなどの逃げタイプが飛ぶとしたら、差し脚鋭いレッドアヴァンセやジュールポレールあたりがやはり面白いのかなと思っていましたが、このあたりの上位に来た馬もカツジ以外は想定内でしたね。カツジの四着にはビックリしましたが(笑)。
モズアスコット、ケイアイノーテックはあんなものかも
安田記念を勝ったことや安定した成績を誇っているので対抗をつけたモズアスコットですが、見事に飛んでしまいましたね。どうやら四コーナーで他馬にぶつけられたのが原因というコメントが関係者から出ていますが、本当に強い馬ならそれでも巻き返してくると思います。
夏時点では弱くはないもののそれほど強い馬ではないと思っていたのですが、力的にはあくまで重賞級というのが正解だったような気がします。
ケイアイノーテックはステルヴィオと同じ位置にいてこの結果なので、単純に力負けでしょうし、陣営もそういったコメントをしています。現状では力が少し足らなかったのでしょう。
全体的にはやはり上位の馬たちに大きな力の差はなかったというのが結論となりますね。
気になった馬と今後の注目馬
ステルヴィオ
戦前は”力が一番読みにくい馬”というのが僕の評価だったわけですが、勝っちゃいましたね。これでロードカナロア二頭目のGⅠホースですが、この結果により種牡馬としての価値も確立されたでしょうし、より質の高い牝馬に種付けされることは間違いなく、いずれこの馬がリーディング争いをする日も来るかもしれません。(逆にオルフェーヴルは来年あたり結果を出さないと社台から追い出されるかもしれませんね。)
さてついにGⅠホースとなったステルヴィオですが、僕個人の感想としては弱い馬ではなく、しっかりと成長していることは分かりましたが、そこまで強い馬ではないのかな?というのが感想です。
今回はどうしても枠順の恩恵を受けたことは間違いないので、力的にはペルシアンナイトやアルアインぐらいの力というのが妥当な評価なのではないのかと思います。
血統的にはこれから人気してキングカメハメハの系統らしく、ちょくちょく二着、三着に敗れるような気はしますね。
モズアスコット
母の父がヘニーヒューズなので若干怪しいとは書きましたが、やっぱりそんなに力が抜けた感じはないようですね。やはりスムースにまわって来てこその馬のようなので、今後もこういったことは十分起こりそうですし、場合によっては調子落ちしていく可能性も若干考えられます。
次走は香港のレースを予定しているようですが、なんとなく勝つイメージが湧きません。
ロジクライ
乗っていたデムーロ弟によると力負けとのことです。タイプ的には軽い馬場を勢いで突き切る馬なのかもしれませんね。
以前に安田記念で活躍したロゴタイプみたいなタイプかもしれません。
アエロリット
この馬やっぱり走ってみないと分からない馬ですね。調子やコースどうこう言うよりも、彼女の気分次第という感じがします。
これからも1着の場合と飛ぶ場合両方想定しておく必要はありそうです。とてもじゃないですが、軸にして買う馬ではないですね。
ジャンダルム
またまた出遅れましたね(笑)。
ここのところまともにレースしていないような気がしますが、かつてのローズキングダムといい、武騎手の乗った馬の機嫌が悪くなっていくのはなぜなんでしょう。
この馬の場合春にクラシックディスタンス向けの調教をしたことは大いに影響があるでしょうから、一回しっかり休養して精神の立て直しをしてほしいところですね。
個人的にはゆったりしたペースとメンバーで走れるレースを選択して勝ち方を思い出させるのが先だと思いますね。